2018年1月19日金曜日

"Darkest Hour"『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』

"Darkest Hour"
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
1/17/18 @Cinelux Cafe w.CC
⭐️⭐️⭐️

大写しで日付がくるくるっと変わる表示法がおもしろかった。
日付大事。

1週間くらい前に『英国王のスピーチ』をなんとなく見直したら、本作の良い前日譚になってよかった。キング・ジョージがコリンじゃなかったけど。
サイドストーリーの『ダンケルク』はまだ観ていない。

オールドマンが名指ししたというだけあり、特殊メイクが光っていた。

主人公が立ち止まるところがたっぷりあり、ノンストップの"The Post"と違って「ふう、映画観た」という充実感が得られた。
緩急大事。

"The"つかないんだな。

2018年1月16日火曜日

『モリーズ・ゲーム』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『君の名前で僕を呼んで』



"Call Me by Your Name"
『君の名前で僕を呼んで』
1/15/18 @Nick
⭐️⭐️⭐️1/2

"Your Name"(『君の名は』)と紛らわしい題名ね。体こそ入れ替わらないものの、自分の名前で相手を呼ぶというのが、アイディンティティを交換しあってるみたいだ。

ジェームズ・アイボリーが脚色しているのだけど、イタリアが舞台ということもあり、鑑賞中『眺めのいい部屋』をちらちらと想起していた。
同じぐらいみずみずしい作品でした。おじいさんのアイボリーが、若いときのみずみずしい気持ちを失っていないことに感嘆。そして『眺めのいい部屋』より官能的だった。まあ、もう若くはない我々のような者達が、青い春を懐古するための映画ともいえる。

レディ・バード』『シェイプ・オブ・ウォーター』など、最近、「そ、そこまで!?」と不思議なくらい、ムーブメントになるまでに高く広く評価されているマイナー作品の系列の一本。今のささくれだった濁った空気の世の中で、おいしい酸素のような作品が求められているのだと思う。オバマ政権時代に発表されていたら、ここまで諸手を挙げて迎え入れられていなかったのではという気がしてしょうがない。どれも舞台設定が少し前なのも暗示的だ。(でも『フロリダ・プロジェクト』だって同じぐらいもっと注目されて欲しい…)

最後の方で、オリバー(アーミー・ハマー)が帰ってしまって傷心のエリオ(『レディ・バード』でアナーキスト気取りの高校生役をしていたティモシー・シャラメ)に、考古学者のお父さんが『眺めのいい部屋』のデンホルム・エリオット並の金言を与える。ロビン・ウィリアムズみたいにあったかい目と顔だなあ、と思ったら、『シェイプ・オブ・ウォーター』の科学者役や、『シリアスマン』の主人公を演じたマイケル・スタールバーグだと後で知ってショック。ひげにだまされた…。

ラストシーン〜エンドクレジットの長回しティモシー・シャラメが、超素晴らしかった。

チュッパチャプスってイタリアの飴だったのか。(時代設定は83年)

坂本教授の曲が使われていた。

となりの高齢ゲイカップルが仲良くポップコーンを分けあって食べていた。



"The Post"
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
1/13/18 @Cinema9
⭐️⭐️⭐️
おもしろかったけど、せわしない映画でした。
印刷工、あこがれの職業。
年配の観客が拍手〜。

エンドクレジットで、ノーラ・エフロンに捧げていた。




"Molly's Game"
『モリーズ・ゲーム』
1/12/18 @Cinema9
⭐️⭐️⭐️1/2

実在の女性であるモリー(ジェシカ・チャステイン)に対して、とても誠実な映画だった。
これが初監督のアーロン・ソーキンは、大金や自分の人生がかかっていてさえも、クライアントの個人情報を売ろうとしないモリーの高潔さに打たれたという。
それだけでなく、父親(ケヴィン・コスナー)と娘の物語としても、びっくりするほどとても誠実に描いていた。あんなこと言われたら、許しちゃうよね。ソーキンにはローティーンの娘さんがいるらしい。
モリーはもともとモーグルの選手で、オリンピック代表選考のかかる試合で滑走するとき、コースのふもとにいる父親から「テレパシー」で指示を受ける。

すべてを失ったあと、モリーが夜の公園のスケートリンクでスケートをする場面がある。靴を借りるお金すらなくて、800ドルのグッチだかシャネルだかの手袋と引き換えに借りるのだが、日本のリンクだったら、手袋なしではリンクに上げてもらえないのになあと思った。どうでもいいんだけど。

男性優位の裏社会で、いろいろ不当な目に遭いながら(特に最初のボスから)必死に立ち回る主人公像が、非常にタイムリーだった。

イドリス・エルバ(ガンスリンガー)かっこいい。
マイケル・セラが、いつもと毛色の違うリスキーな役柄を演じていて、それが結構すごみを出していた。
クリス・オダウドも出ていたよー。

2018年1月10日水曜日

"I, Tonya"『アイ、トーニャ』

"I, Tonya"
『アイ、トーニャ』
1/5/18  @Del Mar封切り日。雨ふり
⭐️⭐️⭐️⭐️

プリミティブな感情に訴え、いろいろ考えさせられました。

観た日は全米フィギュアの真っ最中で、女子のショートが終わって、この日の晩にフリーの試合があったため、なんだかトーニャも出場選手のひとりみたいな錯覚がしました。サンノゼで行われた今年の全米では、ミライ・ナガスが果敢にトリプルアクセルに挑戦し、そのため解説で、これまで公式試合でトリプルアクセルに成功した人物として、トーニャの名前が出ていました。

ある意味ではアメリカそのものを体現していたのに、Beautifulなアメリカしか認めない祖国から否定されたトーニャ(ケリガン事件以前の数々の国内試合で、ジャッジたちにはっきりと)。おのずと、トランプを支持する底辺層の人たちのことを考えてしまう。アメリカで何年も暮らしてないと、関連性がわからなくてあまりピンとこないかもしれないけれど、制作者ももちろんそういう同時代性、社会構造を頭の隅に置いて作っている。

トーニャの母親はインタビューのシーンで肩に鳥をとまらせており(「私の5番目の夫、いちばんましよ」。当時のメディアインタビューの際、実際にやったらしい)、7日に行われたゴールデン・グローブ賞で、役を演じたアリソン・ジャニーが鳥の飾りを肩につけて登場していました。😄 鳥は3羽ほどオーディションして、ジャニーの肩でいちばんじっとしていたのを採用したそうです。

トーニャの訓練方法がすごくて、スケーターというより忍者の修行みたいでした。💦 その場面ではコーチ役の人がカメラに振り返り、「ほんとうにやったのよ」と念を押していた。
トーニャの少女時代に登場する父親、ティモシー・ハットンかと思ったが違う俳優らしい。似てたけど。
トーニャの野暮なメイクを施したマーゴットは老けて見え、逸材アスリートだったトーニャを演じるには無理がある印象だが、演技でそんな悪印象をねじふせた。

⛸️ トーニャとマーゴットの対談
トーニャもサバイバーだった。

⛸️ 記事1記事2
トーニャのママを"地獄から来たステージママ”だって。😅
マーゴット・ロビーはナンシー・ケリガン事件が起きたときは幼児だったためまったく知らず、脚本を読んだときフィクションだと思ったという。
ロビーの飼い犬の名前はブー・ラドリー(「アラバマ物語」の)
クリップの中でしゃべるトーニャを聞いて、「映画のトーニャのしゃべり方だ!」と思った。マーゴットは完コピしていた。
ロビーは5ヶ月間、週に5日、1日4時間スケートの練習をした。だがジャンプ場面はスタントが演じ、トリプルアクセルはCGI(名前は出していないがおそらくはミライにトリプルアクセルのスタントを打診したらしいが、もちろんオリンピックを控えた彼女には無理な相談)。
トーニャや元夫でケリガン事件首謀者(「アベンジャーズ」でウィンターソルジャーを演じたセバスチャン・スタンが演じる)にインタビューし、脚本を書いたスティーブン・ロジャースは、ロビーの目に宿るintensityは、トーニャがトリプルアクセルについて語ったときと同じで、ロビーなら演じられると思ったという。ロビーはプロデューサーも兼ねている。元夫と立ちあげた製作会社の第一回作品。

ハーディングは1月末、ロックフェラー・センターのエキシビションで滑る予定。

⛸️ NY Timesによるトーニャインタビュー

トーニャはぜんそく持ちだったのね。ぜんそく持ちのスケーターって結構多い。
映画のメイキングクリップ付きで、監督がスケート場面の撮影の解説をしている。カメラマンはスケーティングしながらリンクで演技をするマーゴットを撮影し、躍動感あふれるスケート場面を演出した。

⛸️ リレハンメルオリンピックのトーニャのLP演技:
その1 靴紐のアクシデント。ぜんそく用の薬を吸引しているのがわかる。
その2 仕切り直しての演技。トーニャは『ジュラシック・パーク』の曲で滑った。

[自分用メモ]
トーニャのコーチのスタンスが、ティリーのコーチを思わせる。ダイレクトな愛情をくれない母親という点でも似ている。また、スケーターに求められる身なりに反発を覚えたという点でも。ふたりを隔てているのは、スケートというオプションがなくなったとき、ほかにオプションがあったかなかったか(ティリーにとっては天職を見つけるまでの通過点となった、結果的に)。それもまた環境ゆえに。

『ジュマンジ』&『グレイテスト・ショーマン』

"Jumanji: WELCOME TO THE JUNGLE"
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
1/3/18 @Cine Cafe(Movie Pass)
⭐️⭐️⭐️

初笑い😄
ちびっ子がいっぱいでにぎやかな観賞となりました。
並びあう席が取れなかった親子がいて、大きな音が鳴るたびに子どもが母親席にやってきて膝の上に乗っていました。…のは微笑ましかったけれど、鑑賞後はポップコーン散らかしっぱなし。💦

大人も楽しめる、というか大人じゃなとわからない下ネタジョークもあり。
出かける前にネットで『サークル』を観ていたら、エマ・ワトソンの親友役の女優さんが、ララ・クロフトタイプのキャラを演じていました。
中身はJKのジャック・ブラック目当てでしたが、やり過ぎてなくて、どのキャラも等分に見せ場がありました。ケビン・ハートのキャラが一番受けていました。ジャック・ブラック、いきなりカバだったかサイだったか両方だったかに襲われるのですが、彼の父親は本当にカバだったかサイだったかに追いかけられて危うく踏み殺されかけたそうです。

ロック様が地味に演技力を上げていました。
コリン・ハンクスがちょい役。
リス・ダービー(「X-ファイル 2016」のガイ・マン)がゲーム内の案内人役。



"The Greatest Showman"
『グレイテスト・ショーマン』
1/7/18 @River Front(Movie Pass)
⭐️⭐️

ちょっとテーマを前面に押し出しすぎて、映画/ミュージカル/見世物興行のうさんくささ、おもしろさに欠けた味気ない作品になってしまった。だれも傷つけないように配慮するのは大事なことだと思うけど、その上でおもしろく作って欲しかったです。

映画中一番生き生きしていたのが、最後の方でヒュー・ジャックマンが走るシーンとは。

[自分用メモ]
最初、リバーフロントでは初めて使うMoviepassがdeclineされ、その日は観賞できなかった。別の劇場への変更もできなかった。あとで問い合わせたら、引き落としはされており、リバーフロントが窓口ではなく売店のレジ(キオスク)で処理をしたためMoviepassのカードを認識できなかったためだという。次回は窓口で処理しろ、と無茶ぶりするので、自分に選択権はない、Moviepass側でなんとかしてくれないかと返すと、それはその劇場固有の問題なので、次にその場で連絡すればtransactionをチェックする、といわれた。だが同じ問題が少し前、Cinema Cafeで起きたときは店員が(バイトの若者っぽかったが親切だった)売店のレジ上でも出来るようにしてくれたため、映画を観ることが出来たので、レジで出来ないわけではないはず。担当した人間の度量によるのは、DMVでもなんでもこの国のお国柄。今日、再び同じ事が起きて、Moviepassに確認してもらうという煩雑なことをしなきゃいけないのを覚悟して行ったら、今日は劇場のマネージャーらしき人物がキオスクにおり、Regalチェーンのポイントがたまって私はただでチケットをもらえたので、だんなにMoviepassを使わせたら、なぜか何の問題もなくacceptされた。あのあと、劇場側で直したのだろうか。謎。まあ次から普通に使えるならいいけれど、それにしてもMoviepassのカスタマーサービスってなんにもしてくれないよなあ。その前なんか、会員が増えすぎたため…と、返事に2ヶ月かかってたし。それでもひと月10ドルで映画見放題なのはありがたいので、システムがたちいかなくなるまでは利用しようと思う。

2018年1月4日木曜日

備忘録 memorandum 12/27/17 - 1/2/18

"Downsizing"
『ダウンサイズ』
1/2/18  @Cinema9(Movie Pass)
⭐️

今年の初映画。
監督はSF者ではないとうことがわかった。
ローラ・ダーン。(観に行く前、なんとなく『アバウト・シュミット』のことを思い出していたんだけど、そういえば同じ監督だった。『アバウト』でもキャシー・ベイツがジャグジーに浸かっていたのだが、ペイン監督にとって、bathはぜいたくとか無駄遣いのイメージなのだろうか)
ジェイソン・サダイキスの出番はうっかり寝ていた間に終わっちゃったらしい。
どうしてちびちび世界で貧富の差があるのかの説明も寝ている間になされたのだろうか。
予告編の『犬ヶ島』が超おもしろかった。

"VALERIAN AND THE CITY OF A THOUSAND PLANETS"
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
1/2/18 DVD
⭐️⭐️

支離滅裂だけどベッソンの中では整合性がとれているんだろうなあ、というのがうっすらうかがえた。
ルトさん。

"Mother!"
『マザー!』
12/31/17 DVD
⭐️⭐️⭐️⭐️

おもしろかったです。意外なことに。
ハビエル・バルデム、ファンだけどアップはやめて欲しいと思いました。

 "Star Wars: The Last Jedi"
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
12/2817 @Cinema9(Movie Pass)
⭐️⭐️⭐️⭐️

ルークが大活躍してうれしい。
レイア姫も。鳥さんと氷キツネもかわいかった。
ローラ・ダーン。
ファンは最後に不満、というアメリカの記事を見かけたけれど、ネタばれを避けて中身は読まなかったので、どこが不満だったのかわからなかった。
劇場で久しぶりにルトさんの声を聞いた😢 ("Samson"の予告編)

"The Shape of Water"
『シェイプ・オブ・ウォーター』
12-27-17 @CinemaCafe(Movie Pass)
⭐️⭐️⭐️

やっぱり、デル・トロとはあまり相性良くないかもしれない。
『美女と野獣』には異議がある、あれは野獣のままの姿で結ばれるべき、という監督の主張には120%同意するのだけど。
観ている間より劇場を出てからジワる映画。
予告編のときから心配していたが、本編になっても映像が一回り小さく、音声もちっちゃいままだった。誰かが注意しに行って、10分ぐらいで直った。これがホントのサスペンス劇場。
どうしてタマゴ?
ヒロインの部屋の壁に北斎の波の絵を描いたあと、塗りつぶしたという記事をどこかでちらっと読んだ。
マイケル・シャノンは撮影中にクラシック・カーを壊してしまったが、ちょうど映画の中でも壊れるから良かった、と話していた気がする。


2017年12月9日土曜日

"The Disaster Artist"『ディザスター・アーティスト』

『ザ・ルーム』という映画をご存じでしょうか。"The best worst movie"、"ダメ映画の『市民ケーン』"と呼ばれ、あまりのひどさにカルト化し、2003年にロスの映画館1館のみで2週間上映されて以来、14年にわたって今も世界中で上映されています。

映画に助演したグレッグ・セステロが『ザ・ルーム』の舞台裏を描いたノンフィクション"The Disaster Artist"を読んで、製作・脚本・監督・主演したトミー・ワイゾーにいたく共鳴したジェームズ・フランコが、本に基づき映画化したのがこの作品。サンフランシスコの演劇クラスで出会ったトミーとグレッグのなれそめにはじまり、スターを夢見たふたりがロスに出、苦い挫折の末に自分たちで映画を作ろうと一念発起し、制作からプレミアまでの道のりを追います。

『ザ・ルーム』と"The Disaster Artist"映画化までの経緯は、こちらを参照されたし。
"The Room"もぎたて感想

ジェームズ・フランコがトミー役、弟のデイブがグレッグ・セステロ役。その他、豪華なカメオ出演が多数。映画化の交渉をした際、トミーは自分役にジョニー・デップを所望したそうです😅。トミー本人もエンド・クレジットが終わった後、怪しいパーティ客の役で顔出ししています。トミー役を演じているフランコとのシーンを、映画化の条件のひとつとしてトミー自ら要求したといういかにもな理由でした。

一番の見どころは、とにかくクセのあるトミーを、独特なアクセントから笑い方から運動オンチぶりから、なりきって演じたフランコの演技にあります。フランコたち勝ち組のハリウッド人が、こうも『ザ・ルーム』とトミーに魅了される理由とは? 知りたい人は、『ディザスター・アーティスト』に、そのヒントがあります(映画冒頭でハリウッドセレブらが『ザ・ルーム』への傾倒ぶりを告白するシーンすらあります)。意外だったのは、今でもトミーとグレッグは毎日やりとりするほど親密な仲だということ。げに男心は不可解なり。

この映画を見たDel Mar Theaterで、明後日は『ザ・ルーム』深夜上映を観てきます。スプーンを持って行くべきだろうか。

12/10/17
 行ってきました、真夜中の『ザ・ルーム』。
若者たちで大盛り上がりの上映会でした。
海が映れば「ウォーター!」(『奇跡の人』か)、フットボールの投げっこでは「スポーツ!」、ドアを閉めれば"Thank you closing the door!"と叫び、階段を上る場面では足を踏みならし、スプーンの写真立てが映るたびにスプーンが飛び交います(上映前にスプーンを配っている人や、上映中に投げ飛ばしたスプーンを探して回収する人あり。わたしにまでスプーンをくれました)。もう何回も見て、いつ何が映るか、みなさん熟知していらっしゃいます。

集団の若者達って、元気ありすぎて、おばさんはちょっと怖かったですよ😅



2017年12月6日水曜日

“Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”『スリー・ビルボード』

オスカーの呼び声高い一本。シカゴ・サンタイムズのリチャード・ローパーは今年のベストに挙げています。

ミズーリ州の小さな田舎町エビング。町外れに立つ3つのビルボード(広告看板)に、真っ赤な地に黒い文字で、7ヶ月前に起きたレイプ殺人事件の犯人を捕まえられずにいる地元警察をなじるメッセージが掲げられた。広告主は被害者の母親、ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)だ。名指しで非難されたウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)を慕う部下達や町の住人達と、ミルドレッドの間に緊張が生まれ、確執は日を追うごとに深まっていく。

2017年12月4日月曜日

"Lady Bird"『レディ・バード』

2002年、レディ・バード(シアーシャ・ローナン)はカリフォルニア州サクラメントのカソリック系女子校に通う高校3年生だった。本名はクリスティンだが平凡な名前を嫌い、自分でレディバードと名乗っている。刺激のないサクラメントの町も嫌いで、大学は「文筆家達が森に住む」文化の薫り高い東海岸の学校に行きたいと切に願っている。

母親と車中で『怒りの葡萄』の朗読テープを聴きながら涙ぐんでいたと思えば、母親の歯に衣着せない物言いにいらついて衝動的にドアを開けて車から落ちる冒頭場面から、もうこの母子に親近感を覚えてしまいます。レディ・バードはこの愚行のせいで映画の間中、腕にピンク色のギブスをはめてますが。

執筆、監督したのは『フランシス・ハ』などの女優グレタ・ガーウィグ。同作をノア・バームバックと共同脚本するなど、脚本や製作をいくつか手がけ、また何人もの優れた映画監督の現場で学び、「映画学校で正式な監督術は学んでいないけれど(本人の弁)」、満を持しての初監督です。

青春映画、成長物語にもかかわらず、両親や周囲の人間達にも焦点を当て、暖かい作風ながらバランスのとれた映画作りが絶賛され、「誰もがこの映画を好きなる」とツイートしたRotten Tomatosにおける評価は、12/3/17現在185件のレビューで100%の快挙をあげています。

監督の青春時代を緩く下敷きにしていて、2002年当時に流行った曲の使用許可を得るために、じきじきにアーティストたちに手紙を書いたそうで、トーク番組で何通か読み上げてましたが、ジャスティン・ティンバーレイクへの手紙なんか、ほとんどティーンエイジャーの書いたファンレターみたいで面白かったです。

「LoveとAttentionは同じことではないの」とか「これが『最高のわたし』だったらどうする?」とか、名セリフや、印象深い場面がいくつかあります。客席は年配のカップルでいっぱいで、笑い声をあげながらエンジョイしている様子でした。わたしは高校演劇の指導をしている優しいオーソン・ウェルズみたいな顔の神父さんが、大好きでした。生徒達と「一番最初に泣いた者が勝ち」競争をしかけて、自分が一番最初に泣いちゃうの。あと、彼の後釜で、フットボールのコーチをしていた神父さんが、舞台のブロッキングをフットボールのフォーメーションみたいに指示するのも面白かったです(^_^)。レディ・バードはずっと嫌いと公言していたけれど、監督はサクラメントの町(州都です、念のため)を美しく撮っていました。

昨夜(12月2日)、SNLのゲストがシアーシャちゃんで、自分の名前の発音(Saoirse)をネタにしてました。


http://ew.com/tv/2017/12/03/saoirse-ronan-pronunciation-snl-monologue/?utm_campaign=entertainmentweekly&utm_source=twitter.com&utm_medium=social&xid=entertainment-weekly_socialflow_twitter


とあるスケッチではグレタ・ガーウィグが友情出演も(^_^)。

レディバードのにきびはメイクか本物か、判別つきかねましたが、Varietyの記事によると、シアーシャはずっと舞台でスポットライトを浴びたせいで肌が荒れ、そのままメイクでカバーしないで利用したそうです。

[自分用メモ]Nickelは映画前の前口上をやるようになったらしい。この回はClosed captionを貸してくれた館主。

2017年11月3日金曜日

“The Florida Project”

母親と2人で紫色のモーテル「マジック・キャッスル」に暮らす6歳の少女、ムーニーが過ごすひと夏を描いたインディ映画です。

ファーストシーンで、ムーニーと友達の男の子スクーティが階段下の地べたに足を投げ出して座り、退屈そうに左右の靴先を合わせてコツコツ鳴らしています。仲間がもうひとり来ると、たーっとかけだし、お向かいのモーテル「フューチャーランド」に行き、2階の手すりに腰掛けて駐車場の車につばを飛ばしっこして遊びます。下の部屋から出てきたおばさんが子どもたちをしかっても言うことを聞かないので、モーテルの管理人ボビー(ウィレム・デフォー)を通し、子どもの母親へ苦情を訴えます。細っこい全身に入れ墨を入れ、下唇にピアスをして毛先を緑色に染めた年若い母親のヘイリーは悪びれず、「わたし母親失格だって、ムーニー」とにこにこ。結局ムーニーたちは車のふき掃除をしますが、それすら楽しいお遊びにしてしまい、文句を言った女性の孫ジャンシーも一緒にふきはじめる始末。

2017年10月28日土曜日

“Victoria and Abdul”

『Queen Victoria 至上の恋』でヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチが、20年ぶりに同役を演じ(最近そんなんばっか)、年代的にも『至上の恋』よりも後の、インドから来た使用人との思いがけない友情を扱っています。監督はスティーブン・フリアーズ。

晩年のヴィクトリア女王が主人公の史劇だし、イギリス英語だし、肩がこるだろうと思ったらユーモラスで楽しく観賞できました。後半はちょっとシリアスになるけれど、前半のupliftingな余韻で乗り切れます。