2009年8月1日土曜日

"Sleep Dealer"「マインド・シューター」

[鑑賞日: 6/20/09]
"Sleep Dealer"という、メキシコ製サイバーパンク映画を観ました。
サイバーパンクといえどとても土臭く、刺激的なテーマの、おもしろい映画でした。

アメリカ合衆国とメキシコの国境が封鎖された近未来。アメリカにあこがれる若者メモは田舎からティファナへ上京し、天井からニョキニョキ伸びたコードを体に差しこんで”ジャック・イン”し、バーチャルな方法でアメリカへ上陸します。といっても、アメリカで建設中のビルの工事現場で作業をしているロボットを、遠隔操作しているだけなのですが。「ウォーリー」を操作してるみたいでちょっと楽しそうだけど、でも装置が時々不具合を起こして、労働者の神経がやられたり、あまり長く続けると視覚を失ったりする、危険きわまりない仕事。

サイバーな世界へ誘う装置は、サンディエゴで兵士が使用するものは、ハリウッド映画で観られるようなクリーンで無菌でピカピカで洗練されたデザインですが、メキシコで使われるものは、塚本映画やクエイ兄弟やもっといえば「ブレード・ランナー」にも共通するような、ダストやサビや細菌だらけみたいな、不潔・不浄なガジェット。

メモの父親は、昔は広い農地を持ち、小作農もたくさん雇っていた地主でしたが、ある時アメリカ資本でダムが建設されたせいで畑に水が行かなくなり、作物が採れなくなってしまい、今では貧困にあえぎ、ダムから買う水の料金もママなりません。観たのがだいぶ前だからうろ覚えだけど、父はメモに不毛な土地を見せ、「未来がみたいか。これが俺たちの未来だ。未来はあのダムに盗まれたのだ」といいます。

メモの美しい彼女は、自分の記憶を売り、それを「小説」と称していますが(その買い手が、実は…)、やっていることは自分の臓器を切り売りしている人たちと大差ありません。

つまり、この映画が描いているのは、後進国から安い労働力だけを搾り取り、うま味は全部自分たちで独占している先進諸国、という現在の図式を極端にした世界。


久しぶりに「ニューロマンサー」を読み返してみたくなってしまう映画でした。

2008年のサンダンス映画祭で上映され、日本では「マインド・シューター」という題でDVD化されてるようです。

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