2009年10月5日月曜日

"The Informant! (インフォーマント!)"

スティーヴン・ソダーバーグ監督、マット・デイモン主演の「インフォーマント!」は、ベネチア映画祭で上映され、華々しくマットや監督がやって来ましたが、アメリカ映画はアメリカに戻ってから観ればいいと思い、レッドカーペットだけちょっと見て本編はスルーしました。帰ると、さっそく上映しておりました。

さて、この映画、題材のひそみにならったのか、ひとくせもふたくせもあります。

タイトルバックから、それを象徴しているのが、リールテープをnagraの再生機にセットする様子をクローズアップでとらえた、シリアスなスパイものに相応しいシークエンスに、マーヴィン・ハムリッシュ(「コーラスライン」「スティング」「007 私を愛したスパイ」)の陽気でレトロチックなBGMがかぶるミスマッチ。

これはまんま、大企業の不正を暴く大仕事に臨むうえでの、FBI側のどこまでもクソまじめな態度と、主人公であるマーク・ウィテカー(マット・デイモン)の、事の重大さにそぐわない、スパイごっこ気分のような、アマチュアくさい態度(アマチュアなんだけど)との、温度差を表しているといえるかもしれません。

実話なんだそうです。トウモロコシを扱う大企業の不正を内部告発した男の話、ただしコメディタッチ、ということだけは、前知識で知っていました。

で、のっけから混乱したのが、時代設定。音楽同様に、映画のルックもレトロに仕上げてあり、70年代や80年代の作品のような、粒子が粗く色の発色が悪い、ピントの甘い映像になっていて(ポスプロでやったのかしら、それとも昔の機材を使ったのかしら?)、そのへんの時代の話なのかな、と思ったら、しばらくして、マークが「マイケル・クライトンの小説みたい」とか言ったり、ゴツい携帯電話を使ったりするので、90年代はじめぐらいの話なんだなと分かるのですが、だとすると、時代設定よりもさらに古い画面作りをしていることになるけれど、何故なんだろう。時折出てくる地名のキャプションなどは、さらにサイケ調な書体だし。それくらいマットが時代とズレたところにいた、ということかな? 今回そういうスタイルで攻めてみたかったのかな。

企業の陰謀を曝く内部密告者の話となれば、話も結構複雑です。しかも、マークが言うことはどれが本当でどれがウソなのか分からなくて、FBIもすっかりだまされてしまうほど。口先だけで、まんまと社会や大組織を何年もだまして世渡りをする実在の人物、ときどきいますね。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のディカプリオ扮する詐欺師しかり、「ニュースの天才」の記事をねつ造した新聞記者しかり。大きなウソほどばれにくいと申しますが…。この社会(特にアメリカ)がそもそも虚構の上に成り立っているため、ある種のウソを構造的に「キャッチ」できないのではないか、という気がしてしょうがありません。それで、輪をかけて観客の脳みそを忙しくさせたいのか、FBIや取引先との大事な打ち合わせの最中に、マークがぜんっぜん関係ないことを独白するんですよ。毒を持つ蝶がどうのこうのとか、白熊の鼻が黒いのはどうのこうのとか、「トロ」という言葉は日本ではどーのこーの。うんちく君だったんですねぇ、マークは。彼の頭の中の一部では、いつも現実とは違う世界が展開していたのでしょうか。おかげで、字幕欲しい度200%でした。

ところでトウモロコシ会社(ADMという会社名)の不正、各国の競合会社と談合して価格操作してるんですが、味の素もからんでいます。それで、東京ロケもちょっとやっています。どこのホテルかなあ。ハワイでゴルフ接待とか、いかにもなシーンも出てきます(^_^)。

マークを演じるマット・デイモンの役作りも見物です。レネー・ゼルウィガーなみに増量したのも凄いけど、本人がそうなのか、歩き方が変わってて、いかにも運動とは縁のないホワイトカラーの中年ビジネスマン風で、とても「ボーン」シリーズの人と同一人物とは思えません! あと、FBI捜査員の二人組(いい奴ら。告発後のマークの身の上を本気で心配しています。本人は、「社長になる!」とかお気楽なことを言ってましたが)に扮する役者、2人とも良かったですが、そのうちの一人を演じているジョエル・マクヘイルという役者は、この秋のNBCの新番組「Community」で主役に抜擢された人でした。コミュニティ・カレッジを舞台にしたコメディで、チェビー・チェイスや、「ハングオーバー」で日本のヤクザのボスみたいな役を演じて、強烈な印象を残した中国系(かな?)の小柄なおっさん俳優(名前は覚えてないです)なども出ている、注目の番組です。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あそこにいたアジア系の人間は実話では日本人だそうです。某商社の人間と聞いております。