2009年10月27日火曜日

「ピクサー週間inSC」その1:"Tales of Labor and Value: What Works in Pixar Films"


10月23日、UCサンタクルーズ校が、ピクサーとディズニーの社長エド・キャットムルの実績を評価して、功労賞を授与することになりました。で、その一週間は「ピクサー週間」と銘打って、ピクサースタッフによる講演や上映会などがあり、一般参加できるものは、全部顔を出して来ました。面白かったけど、忙しかったわん(^_^)。




10月20日  "Tales of Labor and Value: What Works in Pixar Films"

ピクサー週間の幕開けは、サンタクルーズ大学の映画&デジタルメディア学部助教授Caetlin Benson-Allott(若くてきれいで元気なお嬢さん!)による講義です。

ピクサー映画のストーリーは、ジョン・ラセターによると、一貫してメインキャラクターの成長、Self improvementを描いているそうです。ただし、ビルドゥングス・ロマンといったら普通は若者の成長物語なのに、ピクサーがユニークなのは、主人公が人形だったり車だったり魚だったりする点にあります。

例えば、「トイ・ストーリー」。個人のエゴを捨て、greater goodのために、みんなで一致団結して問題に当たることの大事さを、人形のウッディが学びます(それはピクサーの仕事の進め方でもあるのが、この先のピクサースタッフによる講演などで分かってきます)。「トイ・ストーリー2」では、さらに、キャラクター・グッズへの過度のフェティシズムやコレクターへの批判をしているけど、キャラクタービジネスで成り立っている(というかディズニーが進めてきた戦略なのだが)アニメーション・スタジオにとっては地雷を踏むようなもんだ(という言い回しはしなかったけれど)と指摘していました。でも、ピクサーのアニメーターたち自体、立派なコレクターで、ハワイ風のグッズを集めているスタッフは、ハワイアンの店が閉店するたび、グッズを買いこんで、ロッカー3つ分たまったコレクションを、とっかえひっかえオフィスに飾っているそうです(木曜日のマイケル・ジョンソン氏の講演による)。批判するのと実行するのとは違うという見本ですね〜(^_^)。

「レミーのおいしいレストン」では、「誰でも偉大な芸術家になれる」という前半から、「誰もが芸術家になれるわけではないが、後半ではどんな人でも「階級や貧富や出自に関わりなく、芸術家になる可能性はある(含むネズミ)」という主張へと展開します(これは敵役の料理評論家から発せられる)。ニューヨーク・タイムズ誌の映画評論家、A.O.Scottが本作の評の最後に、たいへん稀なことに、"Thank You!"って書いたそうです(彼は今テレビで"At the Movies"という映画評番組を持っています)。わたしも今のところ「レミー」が一番ピクサーでは好きです。食べ物すごくおいしそう(そこかい)。あらすじの説明をアロット助教授がして、男の子の名前が「リングイニ」だと言ったら、会場から笑いが起きてました。(^_^)

さて、講義の中心は、助教授のお気に入り「モンスターズ・インク」についてです。

同作の製作が始まった2000年、カリフォルニアでは電力危機が起き、Rolling Blackoutといって、地区ごとに順番に停電期間を設けたりしてしのいでいたのですが、「モンスターズ・インク」はまさしく、そのエネルギー危機と対処法を「感動的な形で」提示した、Politically Consciousなアニメーションなのだそうです(ピクサースタジオはカリフォルニア州にあります)。「遠い遠い昔」のお話しを扱うディズニーと、現在の政治/経済状況を扱うピクサーの違いが、そこにある、とアロット助教授はいいます(ディズニーとの差異化を図った点は、ベネチア映画祭でアン・クーリッチ達が行った講演で、本人達が詳しく解説していました)。

そうだったのか〜(・0・) そんな背景があったのですね。確かにサリー、今エネルギー不足だから、車じゃなくて歩こう、って言ってました。  

なんでも、カリフォルニアの財政危機は、この頃、P&Gが破産したため、州のお金で他社から電力を買わなければいけなかったことに端を発しているのだとか。その後、電力危機はエンロンが価格操作(メガワット・ロンダリング)していたためだったことが分かり、2005年、同社に$1.52billionを返して貰うことになったのですが、倒産したから未だに202millionしか返して貰ってないんですって。 で、その後、2003年にデイビス知事はリコールされ、今にいたるわけですが、「モンスターズ・インク」では、こういう政治経済的局面に対し、「人道的な」方法で解決したというわけだそうな。

ちなみに今、セントラル・コーストでは、電力ではなく、水問題が起きそうな気配が。地域ごとに取水制限をするかどうかでもめています。

講義自体は軽めに終わり、「モンスターズ・インク」のDVD上映をして初日はおしまい。ブーかわいいなあ。

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