2009年10月15日木曜日

"Paranormal Activity"「パラノーマル・アクティヴィティ」

怖いと評判のホラー映画です。
そして、手持ちカメラで捉えた主観カットのみで構成されるドキュメンタリーを装った手法、さらに15,000ドルという低予算からも、第2の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ともいうべき作品です。

予告編が、試写会で本作を鑑賞する一般観客の様子を暗視カメラで捉えた映像を使っていて(これ自体が本編の手法の応用。ちょっと"Mystery Science Theater 3000"みたいだけど(^_^))、本気で驚いたり怖がっている彼らの様子に、「これは掛け値なく怖そうだぞ!」と、興味をそそられます。

公開2週目、平日の昼間だというのに、観客が50名以上入っており、こんなことはよほどのヒット作でも珍しいので、これは大当たりしそうな予感。

登場人物は主役2人と脇役2人、ロケーションはたった一カ所と、映画学校の基礎クラスの課題のような、ミニマムな設定です。舞台となる主役2人の家は、監督の自宅だというから、ますます学生映画っぽいです(でも2階建ての広々した家ですが)。監督は、オーレン・ペリというファーストタイマーで、この作品のDVDを観たスピルバーグが太鼓判を押したらしいです。それで、もっと見栄えよく作り直して一般公開しようということになったのですが、オリジナル版の反応が良すぎたために、このまま公開したのだとか。

ケイティとミカ(演じる役者の名前も同じ)は、サンディエゴの新居に越してきて間もないカップル。ケイティは大学生、ミカはデイトレーダーです。新調したビデオカメラでミカが撮るケイティとの会話や、家に呼んだ心霊研究家との話し合いから、二人の置かれた状況が分かります。ケイティは幼少時からお化けのようなものを見、火事で家が焼けてしまって(この火事もその霊が関係しているかも、と含ませています)新しい家に引っ越した後も、やはり悪霊(?)はケイティに付いてきた素振りがあり、とうとう、この家でも夜中に不審な物音や気配を感じるようになってきたため、不安になったケイティが研究家を呼んだのです。研究家は、ちょっとしたアドバイスと、この件にもっとふさわしい専門家の連絡先を教えて退出。ミカはビデオカメラを寝室にセットして、2人が就寝中に何か超常現象(パラノーマル・アクティビティ)が映らないか調べよう、と提案します。以降、三脚に固定したカメラが暗視モードで捉えた寝室の映像と、ミカの撮影する昼間の手持ちカメラの映像が交互に繰り返され、物語が進行します。

初日の晩、就寝前の団らん中、何か奇妙な音を2人(と観客)が耳にし、出所を探ろうと家中を探したら、なんのことはない冷蔵庫の製氷機が自動で氷を作る音でした。(私のアパートに備え付けの冷蔵庫にも製氷機がついていて、最初は、突然大きな音が聞こえ、原因が分からずに不思議だったのを思い出しました。未だに、突然音がするとちょっとビックリします。ホントにこっちの家電は音がうるさい…閑話休題)ところがすぐに、怪奇現象がビデオに映りはじめ、それは日を追うごとに深刻になって行きます。怖がるケイティは、教えてもらった専門家に連絡を取ろうとしますが、実際家のミカは家長らしく、「この家と俺の女は自分で守る!」と、強行に反対します。でも、さらに事態は悪化していき…。

私は手持ちカメラがどうしても苦手で、「ブレア・ウィッチ」も「クローバーフィールド」も、内容以前に体がギブアップしてしまったのですが、やはりこれも、始まって30秒で気持ち悪くなってしまいました。夜中のシーンは固定なので助かりましたが、それでも相当辛くて、我慢して最後まで観る自信がなかったのですが、なんとかがんばりました。

そう、残念ながら、私は全然怖がれませんでした。主役2人の取る行動が、本気で怖がっている者のそれに、まったく思えなかったのと、「超常現象」がまるでお化け屋敷の出し物のようにあんまりにも物理的過ぎて、どうしても白けてしまい、とても怖がる気持ちになれませんでした。起きてる現象の深刻さに比べ、2人の行動はのんき過ぎます。例えば、最初の超常現象(具体的にはネタバレになるので書けませんが)の後、本能的に寝室のドアは閉めると思うのですが、とうとう最後まで、どんなに過激な現象が起きても、開けっ放しなところとか、どうにも解せません(もちろん映画の作りとして開けっ放しにしとかなきゃいけないとか家を離れたらそもそも本作の革新的なコンセプトが台無しとかいう台所事情は分かりますが、怖がるためには登場人物の心情に寄り添えないとダメなタイプなので)。怪奇現象よりも、2人の行動の方が不条理でした。

こう考えると、ホラー映画で「恐怖をエンジョイ」するためは、怪奇現象そのものもあるけれど、そういう状況に見舞われる主人公達の行動や心理状態にどれだけ感情移入できるかという要素も大きいのだなぁ、とちょっと思いました。

野暮な見方をすると、「demon」というのはケイティの内なる悪魔、イドの怪物で、ミカが男性原理的な対処法をしようとすればするほど、 「demon」が暴走していくのだとすると、ちょっと腑に落ちるものがあるけど、でも観客は純粋に怖がりに来るわけで、「ローズ家の戦争 パート2」を観たいわけではありません。

でも音の使い方とか、異常現象の見せ方、もしくはいかに見せないか、などの演出法はうまいと思います。画面に映るのはカメラのレンズに捉えられたものだけ、という制約を逆手にとったりとかね。レビューも褒めているのが大半ですし、たいてい「怖かった」と書いてます。映画は最後、テロップでその後の顛末が短く説明された後、画面が暗転し、それが数分続きます。観客は何か映るのかしら、エンディングが出てくるのかしら、とじーっと待っているのですが、その間があまりに長く感じられて、そのうちところどころから笑いが起きていました。結局、エンドロールもなく、そのまま映画は終了します。

うーむ。怖がりに行ったのに、完全にはずしました。どうしてくれよう。「新耳袋」でも読み直そうかな。その時に製氷機の音でも響いたら、最高怖いんだけど。

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<11月6日>
コナン・オブライエンのトークショー"Tonight Show"に、本作の主演2人がゲスト出演しました。ケイティの方は、映画の中よりちょっとポッチャリしたかな。

2人のギャラは、1日18時間、7日間の撮影で、500ドルだったそうです。
また、映画のエンディングは、スピルバーグがアイディアを出して再撮影となったそうですが、ミカがインフルエンザに罹って大変だったとか。最初のエンディングも観てみたいですが、DVDに入れて欲しいです。

これを書きながら、サンタクルーズで現在開催中のサーフィン大会(Oneill Cold Water Classic)をウェブカムで見ているのですが、Micah Byrneという選手が映りました(主演俳優の名前と役の名前がMicah)。ゾゾゾ…。

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<2010年1月30日>

DVDを観ました。発売以来、こちらのTsutaya onlineにあたる、Netflixでは本作はずっとvery long waitなのですが、先日近所のセブンイレブンで自販機レンタルが始まったので、やっと借りられました。(^_^)

レンタル版にもちゃんと、オリジナルのエンディングが入っておりました。私はオリジナルの方が好きかな。それまでの映画のmodestさを壊してなくて。で、その後、ながーいブランクとハム音が続き、それから超高速で、ダーッと、名前のリストが流れて行きます。それが、不気味で、正直一番怖かったです。映画公開の署名をした人たちのリストなんですけどね。

再見しても、何があっても夜中にぐーすか寝れてしまう2人は、やっぱりのんきすぎるって。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

オリジナルの警官が踏み込むバージョンのエンディングの方がリアリティあって怖いです。エンドロール中もずっと警官の会話が続いていて「本当にあったのでは?!」と思わせます。
劇場版のエンディングは完全に作り物と思わせられる節があり冷めました。
ハリウッド仕込みで、どっかで見たことあるっぽかったです。

電気羊/e-sheep さんのコメント...

さらにそんなバージョンもあったのですか。

おっしゃる通り、そちらの方がリアリティありそうですね!

それが本当のオリジナルなのかしら? 映画祭か何かでご覧になったのでしょうか?