2009年12月30日水曜日

"Invictus" インビクタス/負けざる者たち


クリスマス前当たりから、賞狙いの話題作がどんどん公開されるので、どれから観ようか迷ってしまいます。(^_^) まずはこのへんから行きますか。

クリント・イーストウッドが、モーガン・フリーマンをネルソン・マンデラ役に据え、1994年に大統領に就任したばかりのマンデラと、南アのラグビーチームとの関係を描いた政治ミーツ・スポーツ映画です。原作は、ジョン・カーリンの著書 “Playing the Enemy”。

Invictusとはラテン語で "unconquered"、すなわち「許されざる者」ならぬ「征服されざる者」という意味で、ネルソン・マンデラが南アメリカの大統領に選ばれる前、27年間におよぶ獄中生活で座右の銘としていたウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩の題名です。マンデラはこの詩を、南アメリカの代表としてワールドカップに挑むラグビーチーム、スプリングボックのキャプテン、フランシス(マッド・デイモン)に贈ります。白人との対立ではなく融和を図る大統領にとって、アメリカーナのシンボルでもあったスプリングボックの処遇は、国政上特別な意味を持っていたのです。後で、この詩についてググってみたら、オクラホマシティー連邦ビル爆破事件の犯人テモシー・マクベイが、死刑執行直前に書いたのもこの詩だったのだそうです。ネガとポジ…。

白人だらけのスプリングボックには、一人だけ黒人の選手がいます。彼が淡々と、他のプレイヤーに混じり屈託なく練習や試合に励む様子に、"Wat Misaka Story"のミサカ選手はこんな感じだったのかなあ、と想像してしまいました。

スポーツ映画としての見せ場は、映画のクライマックスにやって来ます。この試合のシークエンスが予想外に長く、そのいびつな長さが好ましい。選手と一体になって全身で歓喜する観客の姿は、ラグビーでもアメフトでもサッカーでもどんなスポーツでも同じです。良くも悪くも人にインスプレーションを与える詩(ことば)の力もすごいけど、こんな風にみんなが一体となって喜べるスポーツの力も凄いです。映画もそういう力を持ってると思うから、どこぞのSF超大作のように「百年一昔」的イデオロギーの映画には、心底ガッカリしてしまう。

大統領就任前からマンデラのボディガード役を務めてきた同胞の黒人たちと、就任後に加わった白人のシークレットサービス要員たちの緊張感あふれる関係が、サブブロットとして描かれるのですが、そういえば以前、イーストウッドがシークレットサービスを演じる映画がありましたねぇ。

本作は、どうしても当時の南アメリカの情勢とマンデラ大統領に、現在のアメリカとオバマ大統領を重ねてしまうし、イーストウッドも確かに通じるものがある、と言ってるそうです。USA TODAY紙の記事によれば、撮影は去年の春で、イーストウッドはマケインを応援していたそうですが…。いまいち、新大統領に懐疑的で試合に実の入らないチームメイトに、フランシスはいいます。「時代が変わったんだ。僕たちも変わらなくちゃ」。マンデラも言います。「私が(白人への私怨を捨てて)変われなくて、どうして国を変えることができようか」と。Yes We Can, but We Must Change.

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