2010年1月24日日曜日

"The Book of Eli"「ザ・ウォーカー」

デンゼル・ワシントン主演(&プロデューサーのひとり)の、終末ものの1本です。最近は、ヴァンパイアものと終末ものが2大トレンドになっていて、いろんなバリエーションが(嫌でも)楽しめます。(^_^;)

アルマゲドンから30年後の未来を舞台に、地球上でただひとつ残った聖書を携え、ひたすら西を目指して歩き続ける男イーライ(ワシントン)と、聖書を奪おうとする権力者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)のし烈な争奪戦を描きます。


この映画で一番好きなのは、オープニングシークエンスです。静寂に包まれた森の中、聞こえるのは、雪のように降り積もる木の葉の音のみ。カメラがパンしていくと、地面に投げ出された人間の手が映り、側には拳銃が落ちている。その屍を狙い、慎重に近づいていく毛のない猫スフィンクス。すると、カメラはふいに、もう1人の人物を映す。やはり地面に横たわるようにして座り、ピクリとも動かない。この人物も死んでいるのだろうか。マスクをしていて顔は分からない。カメラが足下に行くと、両足の間に、矢尻のようなものが……と思った途端、矢が放たれて、みごと猫に命中する。

猫を手に、歩いて行く男の行く手にはしかし、生きている者の姿は見えない。とある廃屋に入ると、首を吊って命を絶った男の死体が。しかもずいぶん日数が経っていそうだ。死体から靴を脱がせて自分の足に合わせ、ピッタリなのか喜んでいる様子の謎の男。火を起こし、夕餉の支度を始め、やっとマスクを取って現れたのは、デンゼル・ワシントンの顔でした。
で、その後服を脱ぐと、体中ケロイドだらけです。水がないので、所持品の中からKFCのウェットティシューの包みを取り出して、身を清めます。

KFCのウェットティシュー……。ここ数年、KFCでウェットティシューをもらったことないけどなぁ。たくさん注文すればくれるのかしら?

なんて俗っぽいことを考えているうちにも、デンゼルことイーライはどんどこ歩き続け、やがて生きている人間に出会います。肌も露わな女性が地面にうずくまり、助けを求めています。わー、生きてる人がいたよ! 助けたれ、助けたれ、と思うのに、デンゼルは立ち止まって辺りをうかがってます。なんてことでしょう、女性は通りがかった者を陥れる罠だったのです!

この後に展開される戦闘シーンがカッコよくてしびれます。デンゼルの得物はでっかいナイフで、座頭市みたいに一瞬にして複数の相手を倒しちゃうのです。それはいいのですが、わたしはこの辺からかなり盛り下がり始めます。「ゾンビランド」もそうだったけど、文明崩壊後に生き残った数少ない人間達が、せっかく同胞に巡り会ったというのに、どうしていつもだまし合ったり殺し合ったりしなきゃいけないのでしょうか? ずっとひとりぼっちで、やっと生きてる人間に出会ったのに、殺しちゃったらまたひとりぼっちで、厳しい環境を生き抜かなきゃならないじゃないですか。それよりは協力しあう方が生存率上がると思うんですけど。どの映画でもたいてい同じ展開で、「これが人間の本性じゃ!」って何度も何度も見せつけられているみたい。デンゼル、お前もか、ってうんざりしちゃいます。まぁ協力しあったらそこで物語終わっちゃうというのはわかりますが、人間とは社会的動物ではなかったのかい。

……と思っていると、いました、群れる人間達。無法者がはびこる西部劇の町のような、ほこりっぽい一角に、固まって住んでいる人たちがいました。その共同体を取りしきっているのがカーネギー(オールドマン)で、彼は人心を掌握するには聖書が必要、となぜかかたくなに思いこんでいます。飛んで火にいるイーライのデンゼル。イーライはイーライで、自分には聖書を西に運ぶ使命が課せられていると思いこんでいるので、カーネギーに渡すわけにはいきません。そんなわけで、イーライとカーネギーの追いかけっこが、映画の中心になります。

でも最後まで、面白く観られました。「北斗の拳」みたいで。ケンシロウがイーライで、ラオウがカーネギー。2人が奪い合う絶世の美女(名前忘れた)に当たるのが、聖書です。キリスト教はしぶとい。アルマゲドン後も生き残ります。戦争の元凶であるとまで劇中で匂わせてさえいるのに、それでも聖書は絶対的な善として、人類の唯一の拠り所としてうやうやしく奉られるのです。せっかく、悪夢のようなブッシュとネオコン仲間達が去り、リベラル政権になったのに、またぞろ共和党が盛り返してきた昨今のアメリカ政治情勢を反映しているようで、ゾッとしません。

出演は他に、ジェニファー・ビールス、トム・ウェイツ、マイケル・ガンボン、マルコム・マクダウェル。トム・ウェイツはつい先週「Dr.パルナサスの鏡」で蛇になったりしてましたが。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

これからNZでみて来ます。英語が達者でないので、おおよそストーリーを知れてよかったです。

電気羊/e-sheep さんのコメント...

おお、NZからいらっしゃいませ。
よかったら感想教えてくださいね。