2010年1月29日金曜日

"Crazy Heart" 「クレイジー・ハート」

ジェフ・ブリッジズが、落ちぶれたカントリー歌手に扮する映画です。

カントリーは苦手なほうで、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」も敬遠したくらい。ではなぜ本作を観に行ったかというと、それはブリッジズが、今期映画賞主演俳優部門において、コリン・ファースの大敵だからです。コリンだって"A Single Man"の演技が絶賛されているのに、ゴールデン・グローブ賞も、SAG賞も、あっさりブリッジズが獲ってしまいました。でもまぁ、かたや恋人の死を嘆くイギリス人の隠れゲイ役、かたや落ちぶれたカントリー歌手役ときては、勝負は戦う前からついているようなものですけどね。それに、こちらの業界では、「ジェフ・ブリッジズは長年正当に評価されてこなかった。ここらで賞を獲らせてあげるべきではないか」という機運が高まってるのもあり、コリンは分が悪いです。

57歳のカントリー歌手バッド・ブレイクは、かつてはヒットに恵まれ人気者だったが、今はボーリング場や酒場をドサ回りする日々を送っている。とある町で、地元紙の記者の取材を受け、ブレイクとその記者ジェーンはお互いに引かれあうものを感じ、ドサ回りを続ける間も連絡を取り合うのだった。

ボーリング場にやってきたブレイクが車を降りると、ジュースの空きボトルを取り出して、中身の黄色い液体を駐車場にあけます。客席(結構埋まってました。平均年齢68歳ぐらい。車いすの人も2人)から笑いが起きなければ、それが何だかわかりませんでした。(^_^:) ブレイクの落ちぶれ具合、自尊心の失くし度が分かる、巧い出だしです。場内のバーで早速一杯注文したブレイクは当然タダで飲めると思ったのに、飲み代は契約に入っていないので自分持ち、と断るオーナーとの、みみっちい攻防がひとしきり繰り広げられ、みじめさに拍車がかかります。ヘビースモーカーでアル中のブレイクはコンディション最悪で、演奏の途中でゲロ吐いちゃったりもします。余談ですが、別の町で、ケガをしたブレイクが病院のお世話になった時、「酒を断って25ポンド痩せないと死ぬぞ」とアドバイスするお医者さんが、カレッジの映画科の教授にそっくりでした(^_^)。ブレイクのエージェントは、最初ロイ・シャイダーかと思ったのですが、違う役者さんでした。

次の町では、ピアノ奏者から、地元の新聞に音楽関係の記事を書いている姪の取材を受けるように頼まれるブレイク。安っぽいモーテルで、いつものごとくだらしない格好(いっつもしまりのない腹部をはだけていて、目をつぶりたくなっちゃいます(^_^;))でくつろいでいた彼を訪ねてきたのは、おもいもかけず、out of leagueな感じの、若く美しい女性記者のジーン(マギー・ギレンホール)。面食らったブレイクは、あわてて居住まいを正します。

映画は、落ちぶれたカントリー歌手が、ゆっくりと再生への道をたどる過程を描いていますが、そのきっかけとなるのが、ジーンとの出会い。マギー・ギレンホールは、首筋から肩と腕にかけての曲線がなんともいえず色っぽくて、画面からも肌のぬくもりが伝わってきそうな、存在感とフェロモンのある女優さん。ジーンとブレイクのラブストーリーが素晴らしいのは、ギレンホールの功績が大きいです。ちなみに彼女のだんなさんは、ピーター・サースガードだったのですね。これまた目つきがなんとも色っぽい俳優で、フェロモン夫婦ですねぇ。彼も『17歳の肖像』で、今年の賞レースに絡んでます。ジーンの家のベッドに横たわり、ギターをつまびきながら、何(十?)年かぶりに新曲の構想を練るブレイクに、ジーンが哀しそうに、こんなことを言います。「こんなのフェアじゃない」。どうしてフェアじゃないかは、是非映画を観て確かめて欲しいです。

劇中でブリッジズとコリン・ファレル(ブレイクのかつての弟子役)が披露する歌は、本当に2人が歌っています。ブレイクの親友役でロバート・デュバルが出ていますが、彼は映画のプロデューサーでもあります。

映画がはけたあと、お年を召した男性が2人、「ブリッジズの演技はよかったが、賞をとるほどじゃないね!」とか議論してました。でも何と言っても役柄の求心力が強いわ、dude。「レスラー」のミッキー・ローク級。

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