2010年3月16日火曜日

"Green Zone"「グリーンゾーン」

「ボーン」シリーズのポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演による、イラク戦争に材を取ったアクション・スリラーです。

デイモンが演じるのは、米軍が占領した2003年のバグダッドで、WMD(大量破壊兵器)発見の任に当たる部隊MET Dのリーダー、ミラー役。軍から与えられた「絶対確実」な情報をもとに現場に赴くが、どこへ行ってもWMDの影の形もない。一体情報源はどこなのか、軍の幹部に当たってもはぐらかされるばかり。不審をつのらせるミラーは、CIAの支局員ややり手ジャーナリスト、それにフセイン政権を憎むとある民間のイラク人との接触から得た情報をもとに、独自に真相に迫っていくのだった。



やられました〜。出会い頭のはんぱない手持ちカメラ攻撃に撃沈です(T_T)。3D映像も手持ちカメラも苦手な私には、どんどん辛い世の中になって来ています…。

どうにも辛いので、時々目をつぶって音だけ聞いたりしてしのいだのですが、いつ目を開けてもオレンジがかった画面は、激しい銃撃戦の真っ最中。劇中、ほとんど銃撃戦か追跡劇が繰り広げられていて、文字通り息つく間もありません。

おもしろいのは、普通の戦争映画と違い、戦いはすべてバグダッドの町中で行われるところ。石造りの家がひしめき合う狭苦しい町中でのアクションは、閉所恐怖症を引き起こしそう。

町中での激しいアクションや、手持ちカメラによる臨場感あふれる画面作りはこの監督の得意技で、その手腕は冴えに冴えていますが(何せ本物のイラク帰還兵を起用する徹底ぶり)、はたしてこの映画に有効だったかどうか。完全に荒唐無稽な「ボーン」シリーズのようなフィクションに、説得力を持たせるにはいいけれど、事実に基づいてはいるが、キャラクターもストーリーも創作物である本作を、ほとんどドキュメンタリーのようなタッチで撮ると、かえってストーリーの創作性が強調されてしまい、「すごい迫力があって本物っぽいけど、しょせんフィクションじゃないか」としらけた気持ちにならざるをえず、体を張ってがんばっているデイモンたちがなんだか哀れに見えてきてさえしまいます。

なんでもやり過ぎはよくない、ということですね。違うか。

主に手持ちカメラへの心証の悪さで辛口な感想になってしまいましたが、デイモンに協力するイラク人が、クライマックスで口にするセリフは、値千金です。

最後の方で、「アラビアのロレンス」を彷彿させるシーンがあったのがうれしかったです。なんだか、エフィンジャーのイスラム系サイバーパンク「重力が衰えるとき」を無性に再読したくなってしまった…。

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