2010年4月17日土曜日

"The Secret of Kells" 「ブレンダンとケルズの秘密」

アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた作品です。フランス、アイルランド、ベルギー合作です。2Dの手描きアニメーションに、CGで効果を付けています。

これは素晴らしい〜。美しい〜。劇場で見れてよかったなぁ。

中世の僧院(砦も兼ねている)に暮らすブレンダン少年は、厳格な僧院長の伯父と、優しい僧たちとともに平和な日々を送っていた。だが堅牢な僧院の壁の向こうは謎めいた森が広がり、凶暴な蛮族が村々を襲っているという。ある時、蛮族に襲われた遠い島から一人の老僧が身を寄せに来る。パンガボンというかわいらしいオッドアイの猫を連れた老僧の手には、一冊の美しい書物が握られていた。彼こそ、知識と神秘の力のこめられた本をものしているという伝説のilluminator(写本家、彩飾者)だったのだ。

インクの原料となる珍しい実を求める老僧に頼まれ、ブレンダンは伯父から禁じられていた森へ足を踏み入れる。森の中で、ブレンダンは不思議な少女、狼の化身のアイスリングと出会う。彼女の導きでインクの実を見つけ、無事院に戻ったたブレンダンに、老僧は本の続きを書くように頼む−−。

アカデミー賞授賞式の時に、バーバラ・ウィンタースのインタビューに応じていたアイスリングも魅力的ですが、猫のパンガボンのデザインが涙ものです。単純なフォルムは、往年の東映アニメ「わんぱく王子の大蛇退治」を彷彿させます。全体に平面的なデザインのキャラクターは、「サムライ・ジャック」みたいなんですが。ケルト模様を散りばめた美術が素晴らしいです。それにしても、ブレンダンの両耳に刺さってる洗濯ばさみみたいなのはなんなんだろう? どなたか知っていたら教えてください!

奇しくも「ザ・ウォーカー」と同じく、文明存続の希望を託された1冊の本を守ろうとするお話なのですが、両者のアプローチは水と油のように違います。目には目を、の前者に対し、この映画では誰一人、襲い来る外敵(バイキング)に対して、武器で立ち向かおうとする者はいません。厳格な院長は守りを固めさえすれば蛮族の侵入を防げると考え、防壁の建設に余念がありません。ですが、暴力に本当に対抗できるのは、知恵と想像力、美しいものを美しいと感じる心なんだと、本の完成に生涯をかける老僧とブレンダンの姿を通して訴えてきます。ブレンダンの「武器」は、1本のチョークなのです。

ところで、「Book of Kells(ケルズの書)」というのは実在する本で、「世界でもっとも美しい本」と呼ばれているアイルランドの国宝なんですって。知らなかったなぁ。ダブリンの図書館に保管されているそうです。

劇中、1曲だけ、アイスリングが歌う場面があります。少女の舌足らずで無垢な歌声が、ぞくぞくするほど魅惑的で、パンガボンに「お前は私の行けないところへいくのだ」と歌いかけるのです。この名場面、Youtubeにアップロードされていますが、劇場で観られる可能性があるなら、絶対劇場で観るべきです。(日本では去年のフランス映画祭で上映されたとか)


アイルランド人の監督トム・ムーアの次回作は、"Song Of The Sea"アシカ(?)の化身のお話!! 

1 件のコメント:

電気羊/e-sheep さんのコメント...

アニドウのMLによると、
京橋フィルムセンターで、2011年6/10(金)3:00pm、6/11(土)1:00pmに本作の上映があるそうです。その後京都、広島、岡山、山口、高松でも上映予定あり。
Don't miss it!
http://www.momat.go.jp/