2010年5月3日月曜日

"Greenberg"

「イカとクジラ」のノア・バーンバック監督が、ベン・スティラーを主役に据えた作品。

……なんですが、映画が始まると、画面に映るのは20代後半ぐらいの、飾り気のない女性。車を運転したり、買い物をしたり、クリーニング店に衣類を取りに行ったりしています。お店で「グリンバーグ」と名乗るので、え、じゃあこの子がタイトルロールなの? ベン・スティラーじゃなかったんだ? と意外に思っていると、まもなく家に戻った女の子が、実は家主一家の使用人で、彼らの用事を足しにいってきたのだと分かります。やはり、グリーンバーグは、彼女(フローレンス)ではありませんでした。家主一家はバケーションに出かけるところで、不在の間は家主の弟がニューヨークから留守番にくる手はずになっています。弟は最近、ちょっとメンタル的に問題があるらしいです。で、その弟、ロジャー・グリーンバーグが、ベン・スティラーでした。

NYで大工をしていたロジャーは、ハリウッドの兄一家の家に居候をはじめると、建て付けの悪いドアを直したり、飼い犬のために犬小屋を造ったりしますが、基本的には何もしない方針。「それは私たちの年齢からすれば勇気ある行為ね」と、昔なじみの女性(ジェニファー・ジェイソン・リー)から変なほめ方をされたりします。ロジャーは40代の中年で、かつてはイヴァン(リス・アイファンズ)と一緒にバンドを組んでいた過去があり、いつもスティーブ・ウィンウッドのTシャツを着ています。すっかりNY暮らしに慣れたロジャーはLAのドライな気候に唇が荒れるのか、「かえって唇が荒れるぞー」とかイヴァンに揶揄されるのも構わず、しょっちゅうリップクリームを塗っています。

フローレンス(Greta Gerwigという、飾り気のない女優さん)の仕事はグリーンバーグ兄のアシスタントですが、シンガーでもあります。基本的には、ロジャーとフローレンスの、ボーイ・ミーツ・ガール物語なんですが、この2人はじめ、キャラクターたちが等身大で、リアルです。とくにロジャーは、精神的に病み上がりで、時々予測のつかない、理解に苦しむ言動をするのですが、「どうしてそんな言動をしたのか」というロジャー側からの説明も描写も何もなされないまま進行していくので、「相手を理解した、理解し合えた」と思った次の瞬間には、その思いを裏切られるという、実生活と同じ体験を、映画を観ながらすることになります。すごく不思議な感じでした。そして、かなりクセになる感じです。この監督の作品、もっと観たくなります。脚本は監督と、ジェニファー・ジェイソン・リーが手がけています。リーが原案なのかな? 寿司店での、リーとスティラーの場面が、ものすごく印象的です。

ところで、グリーンバーグ兄の長女は大学生で、サンタクルーズ大学に在学中という設定。「UCサンタクルーズ大」というセリフがスティラーの口から出たとき、観客は「わーい」と喜んでいました(^_^)。最後の方で、当の長女が顔を出すのですが、映画がはけた後、その喜んでいた観客(年配の女性)たちが、「いかにもサンタ大生っぽかったわね!」って言ってました(^_^)。

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