2010年7月20日火曜日

"Inception"「インセプション」

予告編の、街がグググッと反転する映像や、岸壁の都市が崩壊していく「ダークシティ」のような映像に引かれ、公開を楽しみにしていました。なんだか、CGの使い方ひとつとっても、そこらの監督とは格が違う感じで、クリス・ノーラン監督の並々ならぬ力量がうかがいしれるようでした(個人的には特に好きな監督というわけではないのですが)。



夢とうつつの区別がつかなくなっていく、夢や無意識の世界が現実に影響を与えていく、というモチーフは、ディックの十八番です。ディックといえば、彼の原作で、マット・デイモン主演の「The Adjustment Bureau」という作品が秋の公開を控えているのですが、「インセプション」に完全にお鉢を取られちゃった形です。ここまでのクォリティをやられてしまうと、そうとうがんばらないと、つらいよ、デイモン。日本がからんでくるところも、サイバーパンク映画の正統な後継者であることを主張しているようで、頼もしいです(ていうか、いきなりジャパネスクでビックリしたよ(^_^;))。

映画が始まってすぐ、ルーカス・ハースが出てきます。彼はSi-Fiチャンネルが数年前に作った「天のろくろ」の主役を張っているのですけど、やっぱり同系統モチーフ(「胡蝶の夢」)の、ル・グイン作品へのオマージュと思っていいでしょうか。関係ないけど、ハースはサンタクルーズでデビッド・アークェットが撮ったB級ホラー"The Tripper"に出ていたので、ちょっと親近感があります(^_^)。

さて、本編なんですが、一旦夢の中に入ってしまうと、案外普通のどんぱちアクション映画になっちゃって、予告編から期待される、迷宮のような、めくるめく夢幻世界を期待すると、やや肩すかしを食います。夢の中というか、潜在意識の中も、混沌や不条理の要素がなく、ゲームステージのように理路整然と、「デザイナー」の構築した世界とルールに則って展開して行きます。「夢」という混沌とした題材に秩序を与える、その処し方が本作の最大の特徴でしょうね。さらに、時々、プレイヤー達の「イドの怪物(正確にはもちろん違うけど、ネタバレ防止にぼかしてます)」が現れて、邪魔をするのが、ゲームにスリルを与えています。

それから、あの「ぶぉお、ぶぉお」っていう木管楽器系の音楽、どうしてもビョークの"wanderlust"の獣たちを連想しちゃうんですよね!

ディカプーは奇遇にも、「シャッター・アイランド」と立て続けに、無意識世界で女難の相ありの、非常に似た状況に置かれる男を演じています。演じててごっちゃにならなかったら偉い。いや、偶然と見せかけて、観客にデジャヴを味合わせる高度なトリックか。「プレステージ」のノーランならやりかねん。なんちゃって。

それにしても、あの無重力アクション、どうやったのでしょうか。メイキングが見たいものです。

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