2010年10月9日土曜日

"The Social Network"「ソーシャル・ネットワーク」

公開前後から、こちらで話題独占の、デビッド・フィンチャー監督作です。Facebookの創立者、マーク・ザッカーバーグのバイオグラフィー"The Accidental Billionaires"(あれ、複数系なんだ? ということはナプスターの人のこともとりあげてるのかな)をもとに映画化されました。マークを演じるのは、「ゾンビランド」のジェシー・アイゼンバーグ。

とにかくちまたで話題を呼んでいるのは、映画そのものも大変よく出来てるのもありますが、公開前に、ザッカーバーグを人非人のように描いているため、彼が映画に反発しているいうウワサと、映画へのダメージコントロールなのか、公開日に合わせるように本人がどこぞの学校に巨額の寄付をしたという動向、そして公開当日は、地元の映画館を借り切って、社員全員に鑑賞させたという太っ腹なポーズ、さらに1週間後にはFacebook新機能(友だちをグループごとに分ける)の発表を一部の関係者のみに対して行うなど、次々に打ち出すFacebookの対応のせい。映画をたくみに逆手にとった戦略、おみごとです。



映画の最初のシーンで映るのは、確か「よっぱらい学者たち」みたいな名前の、バー。たぶんハーバード大の人間たちのたまり場なのでしょう。若きマークと、ガールフレンドが、すんごい早口で口論しています。もちろん全部なんてとても聞き取れないけど、マークの人付きのしない性分にGFが愛想を尽かして振った、というのは分かります。呆然としつつ、店を後にしたマークは、雪の降る街を軽装でジョギングしながら、大学寮に戻って行きます。ここで、じっくり舞台の街並み、大学の外観、学生達を映しているのですが、これから先は緊迫感のあるやりとりで構成される室内劇の様相を呈していくので、冒頭の屋外の解放感が効いています。

そうなのです、この映画、とくに、マークが、すんごい早口でしゃべりまくりなのです。セリフの量、はんぱないです。監督と脚本家は、この分量で時間内に収まるように、きっちりと各セリフの秒数を計って、正確にそのスピードで役者にしゃべってもらったそうです。(「僕らはいい映画にしようなんて興味ないんだ、時間内に収まることだけを心がけたんだ!」)なんて、脚本家がうそぶいてました(^_^)。なんでも、ナタリー・ポートマンは、マーク・ザッカーバーグと同じ時期にハーバードに在籍し、脚本家に助言をしたらしいです。冒頭のシーンは、99回も撮り直したそうですが、セリフの速さがきっちり合わなかったせいでしょうか(^_^;)。GF(ロジャー・エバートの評によれば、このキャラクターは映画の創作だそうです)を演じる女優は、「ドラゴンタトゥーの女」のアメリカ版を演じるらしいですよ。アイゼンバーグはザッカーバーグと面識もなく、Facebookもリサーチのために一時的に利用しただけだそうですが、いとこが、Facebookの社員なのだとか。

で、ハーバード大在学中に、マークがいかにしてFacebookを立ち上げ、あっという間に広めたのかが描かれます。その過程、というかそもそも初めから、同窓達の裏をかくようにして、一人勝ちしていったため、彼らからそれぞれ同時に2件、訴訟を起こされるはめになり、そのプリーディングが映画の2本柱になっていきます。二件のプリーディングを行ったり来たり、過去を行ったり来たり、かなり入り組んでいるのに、ほとんど混乱することなく一場面一場面をじっくり楽しめるところがすごいです。

訴訟を起こす1組目は、そももそのアイディアをマークに持ちかけた3人組。うち2人は双子で、ボート競技の花形選手。もうまるで少女マンガにでてくるみたいな、美形の双子(え、一人二役なの!? ぜんぜん気づかなかった…。すげー)。マークにコケにされたことに、いい加減腹が立っているのに、いいとこのぼっちゃんなので、「ハーバード大の学生として、同窓を訴えるなんてことはしたくない!」と躊躇し、思いあまって学長に相談に行けば、けんもほろろに追い払われます。(ここでは学長の、生徒のことなんかこれっぽちも気にかけていないどころか見下してさえいるトンカチぶりが、痛烈に揶揄されてました)。大学対抗ボート競争場面も出てきますが、ちょっと独特な質感があって、ポスプロで特殊な加工をしてるっぽい印象を受けました。よく、実写風景をわざとジオラマっぽく見せる手法がありますが、あんな感じ。

もう1人は、マークの親友で、プログラミングの知識も彼に匹敵するほどの、エドアルド。最後に手ひどく裏切られるまで、いい友人、いい奴とは言い難いマークを見捨てずにいた好漢で、「お前のただ一人の友だちだったのに」とポツリというセリフが、痛いです。

映画の最初と最後に、それぞれ別の女性が、マークを端的に形容するのに、とある同じ言葉を使います(意味は肯定と否定で違うんですが)。その、大事なセリフをサンドウィッチにして、マークという人物像が、映画の中のフィクションの、マークという人間の動機、内面の手がかりが、観客に与えられます。つまり、製作者たちは、彼をこう解釈してるんだね、と、わりとストレートに分からせてくれます。「ファイトクラブ」もそうなんだけど、やっぱり、A boy meets a girlのお話しなんだと思う。

映画を観る前は、てっきり主人公は、裏切られて訴える方の人なのかと思いました。ナプスターの創立者は、ジャスティン・ティンバーレイックが演じており、若手ピチピチ俳優達に囲まれて、急におっさんくさくなってます。トレント・レズナー(「Tetsuo」にも曲つけてますね!)の音楽、よかったです。劇中、ハーバードでビル・ゲイツが講演する場面なんかも面白かったです。ハーバードにも、ぼーっとした生後はいるのね(^_^)。

アカデミー賞獲りそうな勢いと出来の、映画でした。

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