2011年4月13日水曜日

"Hanna"「ハンナ」

フィンランド(太陽が上下に映る映像、どうやったのかしら)の森の中で、父親エリック(エリック・バナ)と2人、孤独に暮ら してきたハンナ。小さなログハウスで、ハナは元CIAのエージェントだったエリックから、格闘技から銃の撃ち方、各国語やあらゆる知識を仕込まれる、ブー トキャンプさながらの日々を送っていた。

16才になった時、エリックはハンナに、赤いボタンの付いた装置を手渡す。「これを押せば、もう後戻りはできない」。意を決してボタンを押すハナ。装置は、2人の居所をCIAに知らせるものだった。ハナの母親を殺した敵、CIA高官のマリッサ(ケイト・ブランシェット)に復讐する時が来たのだ———。


Hannaの一番の見どころは、シアーシャ・ローナンとケイト・ブランシェットの新旧(ケイトを旧と形容するのは抵抗あるけど)女優対決! 予告編を観ても、ハンナ役が『つぐない』『ラブリー・ボーン』のシアーシャ・ローナンだなんて、まったく気づきませんでした。まだティーンなのに、ケイトもタジタジなこの化けっぷり。末恐ろしいです。ジョー・ライト監督の両親は、実は人形劇を生業としていて、そんな環境で育った監督は、映画の登場人物を考えるとき、まずパペットに置き換えて考えるのだそうです。ケイトがいつも緑色の服を着ているのは、彼女の役どころが「魔女」だから。意味深な、彼女の靴のアップ、覚えておいてください。ライト監督を本作に推したのは、『つぐない』で組んだシアーシャ・ローナンだそうです。

非常にモヤモヤした気持ちの残る、残念な『エンジェル・ウォーズ』のすぐ後に本作が公開されて、助かりました。痛快、痛快。ハンナは歩く凶器で、ゴルゴと007とソルトと4つ巴で闘わせたいくらいもの凄く強いのですが、まだ16才の女の子で、ツメの甘いところがあります。今まで世間から隔離された生活を送っていたため、逃避行の最中も、目に映るものすべてが珍しく、安宿の電化製品に驚いたり、同じ年頃の女の子と仲良くなったり(この女の子の、足下を背後から捉えた登場シーンが秀逸!)。映画の最初の方でCIAに拘束され、そこから脱出する時に、ハンナの爆発的な、鮮やかなアクションを惜しげもなく見せつけた後、中盤はそうした、ハンナの情緒的な旅が、エリックの行動と、迫る追っ手の描写を差し挟みながら展開していきます。しばらくハンナのアクションが出てこないので、ちょっとストレスたまっちゃうけれど、このハンナの極端な二面性が、本作をとてもユニークなものにしています。ハンナの殺し屋の側面では緊張感とキレのあるアクション映画を、少女の側面では、監督は、グリム兄弟のおとぎ話や「オズの魔法使い」をモチーフに選んでいます。

シアーシャは、シュツとした鼻筋の、鋭角的な横顔が魅力的。森の中ではもしゃもしゃの金髪だったのに、逃避行の最中、いつの間にかきれいに櫛の通った美少女に変身してるのが、ちょっとアイドル映画っぽいです(^_^)。『プライドと偏見』『つぐない』と、イギリス文芸映画御用達の監督かと思いきや、こんな映画も立派に作り上げたライト監督の持論は、アクション映画では、アクションの場面でストーリーが中断してしまうが、アクションはストーリーを語るものでなくてはならない、というものだそうです。その言葉通り、ストーリーの進行上不要と思われるアクションは大胆にカットしていました。もちろん、この映画に否定的な批評も結構あって("disturbing"だって)、監督の目論見が成功しているかどうかは、評価の分かれるところなのでしょうけれど、私にとってはこれぞまさしく、Sucker Punch(不意打ち)でした! 「少女」を描ける、稀少な監督であることには間違いありません。

音楽は、ケミカル・ブラザーズ。彼らを選んだ時点で、本作のサントラに、映画の引き立て役以上のものを許したのは想像に難くなく、とても面白いBGMになっていると同時に、やっぱりちょっと、時々「うるさい」と思っちゃう。

0 件のコメント: