2012年6月24日日曜日

"BRAVE"『メリダとおそろしの森』

 ハイランドゲームでもらったグッズ(ポスター、
うちわ、はがきセット、Bravery Detector)と
劇場でもらったステッカー。
ピクサーの新作アニメーション"Brave"を見てきました。土曜日の11amの回、3D版です。本当は初日の金曜日に見たかったけれど、学校があったのです。

ディズニーの宣伝が公開1,2ヶ月前からすごくて、劇場に行くと"Brave"の赤毛の三つ子のポスターやシールが壁に貼られており、その場所をスタッフに告げると特製ステッカーがもらえるキャンペーンを展開したり、"CUPCAKE WARS"という料理番組のテーマになったり、SUBWAYサンドウィッチとタイアップしたりとあの手この手で大プッシュしてました。もちろんそんなにプッシュされなくても、去年、メリダが馬で森を駆ける特報映像を目にして以来、公開を待ちこがれていたわけですが、さらに気分も盛り上げるべく、ちょうど公開一週間前にサンタクルーズで開かれたハイランドゲームス(スコットランド祭り)にいそいそ行くと、ここでもディズニーは抜かりなく、メリダにちなんだアーチェリーのお試し会や、"Brave"グッズを配ったりしていました。

SUBWAYのバッグと3Dカード



きっと子連れの観客でいっぱいだろうなー、早めに行っていい席確保しなきゃ、と張り切って20分くらい前に行ったら、劇場はまだ準備中で、「10分前に開きます!」と言われ、思いっきり肩すかし。10分前って…。一組のカップルと一緒におとなしく待ち、場内に入ると、当然一番大きいスクリーンでやるのかと思いきや、2番目の小ぶりな部屋での上映です。なんだろうこのやる気のなさ。ヒットを期待してないのだろうか? あんなに宣伝してるのに…。結局、まばら〜な客席でさびしい鑑賞とあいなりました。あらら…。女の子を主人公にした戦略、裏目に出たかしら。(全米的には立派な興行成績で1位を射止めています。サンタの動向は参考になりません)



ピクサーアニメーター3人の直筆イラスト。
世界に1つ!
(詳細は下に)

スコットランドのとある国の王女として生を受けたメリダ(ケリー・マクドナルド)。強くたくましい父王(ビリー・コノリー)、優しく賢く、完璧な女王である母(エマ・トンプソン)、そしてわんぱくな三つ子の弟たちに囲まれて、アーチェリーが得意な跳ねっ返り娘に育ったメリダもお年頃に。帝王学ならぬ女王学教育に余念のないエマトン母〈顔も似てる)が、他氏族から3人の花婿候補を呼び寄せて縁組みをお膳立てしますが、メリダがおとなしく従うはずもなく……。


何バージョンかある予告編を見ても、公式サイトにアップされているたくさんのクリップを見ても、上記以上のストーリーがまったくつかめないのが、ある意味名人芸だなぁと感心していた(今日本版の予告編を見たら、もう少しつっこんでストーリーばらしてますね)のですが、つい出来心で本編の鑑賞前に映画評を2,3読んでしまいました。間違いでした。ストーリーをあえて伏せていたのには、わけがあるのです。映画の中盤で、予想外の展開をするのですが、やっぱり、知らずに見た方がずっと楽しめたでしょう。というか、そこ以外にストーリー上のみどころがないのですよ、ハッキリ言って。ちょっと、困りました。映像は文句なく素晴らく、ネガティブなことは言いたくないのに。ストーリーが貧弱、なんて言いたくないのに。


鳥を追いかける幼き日のメリダちゃん。
(ハイランドゲームズにて)
髪の毛や、衣服のテクスチャとふちのほつれぐあいにも気を配る細やかさ、あたたかそうな人肌の色合い、まるっこい顔だちのメリダの生き生きとした表情と動きなど、もう素晴らしいところがいっぱいですが、特に圧巻だったのが、さまざまな種類の草木に満たされた森のデザイン。ひんやりとした空気感の感じられる、とても自然でリアルな森で、始まって1分も経たないうちに「また見に来たい!」と思ってしまいました。1作ごとにビジュアル面を進化させるピクサーのクリエイター魂、あっぱれです。であればあるほど、ストーリー、もう少しがんばれなかったのかしら。何人ものスタッフでとことん練りあげたストーリーが自慢じゃなかったの、ピクサー。


まず、全体にどうにも二番煎じ感がつきまといます。赤毛のアーチェリー使いという主人公の設定が『ハンガーゲーム』と被っているのは、公開時期が離れていないため、「あら今年のトレンドなのかしら」と流せるとして、舞台が中世のケルトって、『ヒックとドラゴン』(こちらでもクレイグ・ファーガソンが声をあててます)や『ブレンダンとケルズの秘密がそうだったじゃないですか。また、もはやこれを指摘するのはヤボでしかないという気がする昨今ですが、魔女のデザイン(「千と千尋」)、扉の開閉で空間が変わるトリック(「ハウル」)、血の気の多い単純な男衆としっかり母さん(「ラピュタ」)、森の精霊「鬼火」(「もののけ」)、女性ボーカル曲の挿入のしかた(「アリエッティ」)…。「何か新しいものを見せてもらった」という部分が、今回何もありませんでした。


「どりゃ!」
(ハイランドゲームズにて)
もう1点、目立った欠陥が、まだヒロインや舞台世界になじみきっていないうちに、観客をおいてけぼりにして、前のめりなメリダよろしく話がドンドン進んでいってしまうところ。ウッディやライトニングなど、主人公が最初は自己中心的だったり何らかの性格上の欠点があって、ある事件を通して改心するというパターンはピクサーの王道路線ですが、そのような性格でも、自然と主人公を応援したくような、観客が主人公に親近感を覚える時間や何らかのしかけが、事件が起きる前に設けられているはずです。その意味で、ビジュアルデザインは文句なく好感度200%にもかかわらず、メリダは観客の心をつかむのに失敗しています。ひとつには、幼児時代から娘に成長するまでのぶった切り方が、思い切りすぎでしょう。あとはメリダが自己完結しすぎちゃっているところ。誰の愛もいらないし、誰も愛していない、とでもいわんばかりです。もう少し弟とじゃれあってるシークエンスを入れたり、愛馬との絆を見せるシーンがあったら、メリダにエンパシーを覚えたのではないでしょうか。メリダと観客とのコネクション作りに失敗してるため、主人公が何をしても、何が起きても「ふーん、そうなの?」と冷ややかに眺めてしまいます。つまり、「つかみはNG」でした。


そのようなわけで、なんだかやたらと音楽と効果音ばかりが大げさに響いて聞こえ、気になりました。「劇伴よくないなー、新人かなー」と思ってエンドクレジットをみたら、お気に入りのパトリック・ドイルが担当していて軽くショック。ちなみにエンドクレジットの後におまけ映像がつくので、席を立たないように。クレジットに"Groom Animator"というポスプロのポジションがありました。毛髪や毛皮の修正係かしら? メリダと3つ子たち、ホントに見事な赤毛でした。私はバイトで日本語を教えていますが、生徒がちょうど、あんなクルクル赤い巻き毛の双子ちゃんなのです。スコティッシュ系なのかな。


「うりゃ!」
(ハイランドゲームズにて)
でも、メリダの性格描写が薄い分、母女王がよく描きこまれていて、裏主人公かと思うほど、興味深いキャラクターになっていました。母親に好意的な作りに仕上がっているのは、監督と脚本に女性スタッフが参加しているから? ちょうどお年頃の娘がいるのかしら、と勘ぐってしまいます。「母と娘」の物語になっているところ、高い点をつけてあげていいと思います。最後、泣けました(^_^;)。それでもやっぱり、母親がメリダに対する考えを変えるきっかけ、なかったのが、やっぱり弱いです。


おまけの短編は、『月と少年』でした。なんだ、新作じゃないのか、ガッカリ。もう何度も上映会で観たよ……。まあ3D版は初めてだけど。でも、日本の公式サイトによると、もう一本『ニセものバスがやって来た』という短編がつくらしいではないですか。やらなかったよ、どういうこと? 2D版の方についてるのかしら??

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映画を見終え、自宅に戻ると、ダウンタウンにあるコミックショップから電話が。1ヶ月かそこら前に応募した『アベンジャーズ』クジに当たったとのこと! しかも1等! でも何が当たったんだろう? 賞品を忘れてしまった…。「今日はゲストもたくさん来てるから、取りに来て」と言うので、ゲストってだれだろうとお店のページをチェックしてみたら、ギョギョ! 何と、ピクサーのアニメーターが3人もやって来ている!! わー、クジに当たらなければ知らずに終わってたところです! 2重にラッキー。

(左)Beall氏 (右)Blanken
3人のピクサーアニメーターとは、
Andy Beall 
Rob Thompson 
Sequoia Blankenship 
の面々。


お店に行くと、「メリダ」の3つ子イラストが入った紙を配ってくれ、そこに3人がイラストを描いてくれます。店内は小さくて、あまり並んでいません。やっぱり情報が伝わってないのかな。3人とも、ひとりひとりにどのキャラを描いてほしいか聞いて、会話などしながらていねいに描いてくれます。「わー、どのキャラを描いてもらおう?」とドキドキしながら順番を待ちます(ドキドキして、ピクサー作品がちゃんと思いだせない!)。時間がかかったけれど、3人ともに握手して、お話して、イラストを描いてもらえました。一人目のRob Thompson氏には、見てきたばかりのメリダを描いてもらいました。日本版の「レミーのおいしいレストラン」のイラスト集を見せると、「日本の宣伝はとてもいいよね、予告編とか」と言ってくれました。あがっちゃって、もう普段からダメな英語の発音がメタメタ……。 
 Andy Beall は3人の中で一番若くて、話しやすかったです。初めて参加した仕事が『レミー』で、『アイアン・ジャイアント』が好きだったので、ブラッド・バード監督と仕事ができてうれしかったそうです。それから「宮崎アニメ大好き」と言って、「紅の豚」の鉛筆缶ケースを見せてくれました。3人とも「メリダ」にも参加しているというので、「女の子キャラは動かしにくくなかったですか?」と聞くと、「うーん、いや、でも僕には娘がいるから、そうでもなかったかな。新しいことに挑戦するのは楽しいしね」とのことでした。


3人目のSequoia Blankenship 氏の時は少し頭が働いて、「『モンスターズ・インク』のブーか、『ニモ』のカモメを描いてください!」とリクエストしたら、「どっちにも僕は参加してないんだ。でも、好きなのを描くよ」との返事。実際私の前の人が『アイアン・ジャイアント』のロボットをリクエストしたら、ピクサー作品じゃないのに描いてあげてました。カレッジのMAYAのクラスで、ピクサーの人が作ったパブリックドメインキャラの「ノーマン」を使って教わってます、と言ったら、「へー」と意外そうでした(ノーマンが授業に使われていることが)。ノーマン、顔が『インクレディブルズ』の頃のピクサーキャラ顔なんですよね。でもリグはちょっとクセがあります。で、結局『ウォーリー』のウォーリーとイヴを描いてもらいました。青鉛筆で下書きして、丁寧に描いてくれます。最後に「ウォーリーの肩の上にゴキブリを置いてくれませんか?」とお願いしてみたら、顔がパアッとうれしそうになって、「ゴキブリ、僕がアニメートしたんだ!」というではありませんか! おお、言ってみるもんだ。ホントにうれしそうでした。「ゴキブリの名前何でしたっけ?」と聞いたら、名前はなくて「ゴキブリ」って呼んでたそうです。彼も「宮崎アニメが好きでー」と言っていました。会ったことあるか聞いたら、ピクサースタジオに来たときに会ったそうです。「いつか日本に行って、ジブリスタジオと美術館に絶対行きたいんだ!」って言っていました(^_^)。 もー3人とも温厚ないい人たちです。先週『メリダ』の打上げが、ナパバレーのワイナリーの、お城のような屋敷で開かれたんですって。6年かかって作ったらしいです。

それで、1等の賞品ですが、ソーのクッキージャーでした! 記念写真を撮られ、大きな箱をかかえて、歩いて帰りましたよ。



1 件のコメント:

電気羊/e-sheep さんのコメント...

今やっと"Game of Thrones"(「氷と炎の歌」)を観てるんだけど、メリダ、アリア入ってますねー。弓をもらうエピソードがちょっと無理があるように思ったのだけど、たぶんアリアが元ネタなんだろうなぁ。