2012年10月30日火曜日

"Cloud Atlas"『クラウド アトラス』

2ヶ月ぐらい前、映画館で予告編を見て引かれ、調べるとウォシャウスキー兄弟(※)の監督作ではありませんか。『マトリックス』の、mind-bendingなセンス・オブ・ワンダーを再び体験させてくれるのか、それとも『マトリックス2』以降の失望の繰り返しか、予告編を何度かみるうちにどうも後者っぽいなと思いつつ、でも観てみなければ、どちらかわかりません。最初、菊地凛子かと思ったアジア人の女優は、ベ・ドゥナでした。昨日やっと思い当たったのですが、ベ・ドゥナって『空気人形』の子ですね! 彼女に白羽の矢を立てるとは、さすが、ウォシャウスキー。



ディヴィッド・ミッチェルの小説が原作で、時代も場所も登場人物もジャンルも異なる6つのお話からなっています。共通するのは、主人公の体のどこかに印された、彗星の形の母班(birth mark)。映画ではもう少し繋がりを出すように、発端となる1849年のエピソードの主人公が綴った手記や、手紙のやりとりなどを、別のエピソードの主人公がなんらかの形で目にするというしかけも用意しています。もう1つ、柱になるのが「クラウド アトラス 6重奏」というシンフォニー。この曲の誕生秘話は、1936年のケンブリッジが舞台のエピソードで語られます。ウォシャウスキー兄弟のほか、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァも監督しており、両者でそれぞれのエピソードを分担したそうです。ウォシャウスキー兄弟は、1849年の船旅をする法律家の話と、未来の「ネオ・ソウル」およびハワイが舞台のお話を担当したとか。

一番興味を引かれたのは、やはり、ヴィジュアル・アクションともに一番派手な、「ネオ・ソウル」編。綾波をほうふつさせるクローンのベ・ドゥナ(ソンミ451)は、包帯姿でこそありませんが、白い化繊のズタ袋みたいな衣装に身を包み、分身たちとともにキッチュなレストランのウェイトレスをしています。首にはめた金属リングで心身ともにコントロールされていますが、一人の反逆分子(ジム・スタージェス)に連れだされ、「ネオ・ソウル」の真実の姿を目にして——と、このエピソードだけで『マトリックス』三部作分のお話を追体験できます(^_^;) ベ・ドゥナは人間じゃないものを演じるのにピッタリだなぁ。

この映画の一番のみどころは、トム・ハンクス、ハル・ベリー、ヒュー・グラント、ジム・ブロードベンド、ヒューゴ・ウィーヴィング、スーザン・サランドンなどが、年齢・性別・人種ともに様々な人物に扮して演じる多羅尾伴内ばりの化けっぷり。思いもよらぬちょい役を演じていて、気がつかないこともしばしば。それはいいのですが、「ネオ・ソウル」編でのジム・スタージェスたち欧米俳優の特殊メイクは、アジア人のつもりなんだろうけど、なんだか昆虫人間にしか見えないよ…。

テーマは、「すべてがつながっている」ということ。評判は、総じてそんなに悪くないです。ロジャー・エバートなどはほぼ手放しでほめるほど、気に入ったようです。でも、これならば、萩尾望都が、短編マンガで、100万倍ぐらいスマートに手際よく、印象深く表現していると思うのだけど、いかがなものか。

※ところで、「ウォシャウスキー兄弟」と書くのは実はもう不適当になってしまいました。ラリーが性転換してラナ・ウォシャウスキーになったからです。これは、『クラウド・アトラス』全米公開直前に、性転換後初めて公の場でスピーチをしたラナ・ウォシャウスキーさんの映像。言われなければ普通に女性で通りますね…。ラン・ラナ・ラン!
http://www.hollywoodreporter.com/video/lana-wachowski-human-rights-campaign-382225

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