2012年11月5日月曜日

"Wreck-it Ralph"『シュガー・ラッシュ』

ディズニーのCGアニメです。

アーケードゲームのキャラクターが、「おもちゃのチャチャチャ」よろしく「みんなスヤスヤ眠るころ」に「箱を飛びだし」て、いろんなゲーム世界を行ったり来たりして交流できる、という設定のお話です。行き来できるのはあくまでゲームの世界のみで、人間の世界(ゲームセンター)と交わるということはなく、そこが『トイ・ストーリー』や『魔法にかけられて』と一線を画すところ。ゲームのキャラクターは、アーケードゲームのスクリーンの裏側から、現実世界の人間のゲームプレイヤーたちをそっと見つめ返しているのです。



という設定でありながら、現実世界の人間たちと、ゲームキャラクターたちに視覚的な差がないんですよね。出そうと思えば出せるはずなので、アーティスティックなディシジョンなのでしょう。まぁいいか。

ラルフは、悪者キャラクター。「ドンキーコング」風の、ドット絵の目立つ80年代の旧式ゲームで、来る日も来る日もマンションを壊しては、主人公のミスター"フィックス・イット"フィリックス・ジュニアがそれを修理(Fix)していき、怒った住民たちに屋上から投げ落とされる、というルーチンをくり返しています。そんな設定なので、ラルフはゲームの他のキャラクターたちから疎まれ、夜ごとマンションの宴会場に楽しくつどう彼らの様子を、ガレキの寝床から一人寂しくながめるばかり。「断酒会」スタイルの悪役キャラ向けセラピーセッションで、「もう悪役はうんざりだ!」と弱音を吐くラルフを、ゾンビやザンギエフ(?)たちがなぐさめます。ところでセッション会場は、「パックマン」のゲームの中でした。みんなで輪になってスローガンを唱え、会がお開きになると電源ケーブルを通るカートに乗って、ターミナルで自分のゲーム行きカートに乗り換えて帰るようになっているのが、楽しいです。ゲームキャラだから死んでも生き返るけど、ほかのゲーム世界で死んじゃったら、もうアウトなのだ。

ゲーム30周年のパーティ会場に押し入ったラルフは、「メダルをもらったらヒーロー扱いしてやる」と住民キャラに言われて一念発起、メダルを求めてシューティングゲーム「ヒーローズ・デューティ」の世界に紛れこみます。

てっきり、「ヒーローズ・デューティ」のゲーム世界のパートがメインなのかと思いきや、すぐにラルフは別の世界に移ってしまいます。そこは、お菓子がモチーフの、女の子向けレーシングゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界。ヴァネロペという口の悪い少女キャラとなりゆきでコンビを組んだラルフは、プログラムに欠陥のあるヴァネロペを助けてレースに優勝し、メダルを手に入れることができるだろうか——!?

女の子向けお菓子の世界「シュガー・ラッシュ」は、パステルカラーが基調のカラフルな世界で視覚的ににぎやかで楽しいです。「くもりときどきミートボール」もそうだけど、食べ物モチーフが出てくるCGアニメってそれだけでなんだか楽しいのは、自分が食いしん坊だから?「シュガー・ラッシュ」のゲーム世界に、なぜか日本のシュークリームブランド「ビアードパパ(アメリカにも店がある)」のキャラが。スタッフが好きなのかしら。プロダクト・プレースメントかしら。あ、全部そうか。コーラの池にかかる、メントスのつららがスリリングだぞ。

それはいいのだけど、映画のメイン舞台になるのがこの「シュガー・ラッシュ」では、男の子がシラケちゃわないかと心配です。そういえば、ゲーセンでゲームをプレイする子どもが、女の子なんですよね。予告編などで男の子向けと思わせないと、男の子は女の子向けの作品は観にこないしな。会場では、お父さんたちが一番よく笑っていました。よくわからない場面で。

ヴァネロペの声をあてているのは、毒舌コメディエンヌのサラ・シルバーマン。にくたらしさが愛らしい、ヴァネロペ役にピッタリでした。

1シーンだけ、マンションの住人がギクシャクした、中割りのない動きをするのですが、なぜそこだけなんだろう。相手をするラルフはなめらかに動いているのに。まさか日本の弱小アニメスタジオのようにスケジュールが間に合わず……というのはありえないし。

ここまでディズニー色をまったく感じさせないアニメーションは、それだけで快挙です。感じさせないどころか、キッパリと否定しているもんね、「お姫さま」を。ピクサー映画のように、エンディングになにか釈然としない感覚が残る、ということもなく、とても楽しめました。

メインとなる「シュガー・ラッシュ」ゲームのテーマソングをAKB48が歌っていて、本編やエンディングで何度かかかります。サビの部分がすごくキャッチーなので、ちびっ子でも一発で覚えちゃったらしく、映画の後のバスルームで、歌っている女の子がいました :-)
パフュームより目立った使い方されて、くやしいぞ。

実は、"Paperman"という短編アニメーション併映です。白黒のCGアニメーションなのですが、2Dアニメと見まごう処理を、色々な技術を駆使して実現しています。こういうのは日本のアニメの方が長があると思っていたのですが、『009』ののっぺりしたキャラクターと見くらべると、あっさりとうんと上を行ってますね…。ディズニーがこの方向でやっちゃうと、もう無敵だ。


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