2013年8月5日月曜日

"THE WOLVERINE" 『ウルヴァリン:SAMURAI』

公開初日に行ってきました。

ウルヴァリン、日本に見参!

うーん、違和感。限りなく違和感。ウルヴァリンと日本、全然合わない。念力戦の『XーMen』の世界に、刀の入りこむ余地はない。

ロジャー・エバート門下生たちの映画レビュークリップ"What the Flick?!" で、若手のレビュアーたちが興奮気味にベタぼめしていました。アクションが凄い! 特に新幹線のシーンは文字通りぶっ飛んだ! みたいな。



確かに、アクション・シーンは文句なく楽しめました。私は、アニメの『鉄コン筋クリート』を連想させる新幹線シーン(なんだよ「だるま」って……)よりも、葬式乱闘シーンが好きだったかな。僧侶の袖からのぞく彫り物に、ウルヴァリンが気づくんだな。

最初から最後まで、『XーMen』の世界観がどうしても思いだせなくて……。それは、映画冒頭の、セピア色の長崎原爆投下シーンが、ウルヴァリンという異物をのぞいて、すごく迫真感があったことが響いている。長崎くんだりで何をしていたのだウルヴァリン。そしてなぜ穴に閉じこめられているのだ。罠にはまった熊か。そういえばアラスカで熊とお友達だったな。ダチがハンターに殺されてブチ切れ、酒場に殴り込んだところを、謎のアジアン刀使い女に拉致されたのだったな。ジーンと同じ、赤い髪に引かれたのか、男女問わずアジア系には甘くて、それでつい捕まったフリをしてみたりしちゃうのか。鑑賞後2週間ぐらいして、TVで『ラスト・スタンド』を見て、ようやく思い出しました。そうだそうだ、『XーMen』の世界では、ミュータントが自然発生してたんだ。えーと、ウルヴァリンもミュータントなんだっけ? それで、さらにその上に、仕込みかぎ爪を無理矢理移植されちゃったんだっけ? そうだそうだ、それで、謎のロシア系美人医師が、蛇の舌べろんべろんの毒殺ミュータントでも、特に説明なしでいいわけだ?

逆に、その2名以外、日本人はみんな、普通の人でした。赤毛の女の子はちょっと、予知能力みたいのがあるみたいでしたが。でも普通の人なんだけど、日本人はみんなニンジャかサムライかヤクザで、不死身のミュータントのウルヴァリンと、互角に戦っちゃうのでした。新幹線の屋上で、米つきバッタみたいにピョンピョン跳んだりしちゃうのでした。それとも外見はまったくまともだけど、彼らもみんなミュータントだったのだろうか。実は日本人はとっくに一億総ミュータントだったのかしらん。ヒロシマ・ナガサキで原爆を落とされた時、ゴジラと一緒にミューテーションしていたのだが、自分たちは気がつかなかっただけなのかもしれない。うーん、深い、深いぞ『ウルヴァリン:SAMURAI』。反戦・反核メッセージが込められていたのか (ゴジラは福竜丸か)。

と、ことほどさように、村上春樹ワールドのごとく、ファンタジーなクール・ジャパンを堪能できる本作。新幹線、パチンコ、ラブホテル、フジヤマ、ゲイシャ、ヘンタイ、触手、サムライ、ニンジャ、ゼン……(一部出て来ないアイテムもあります)。「ご飯に箸を立てちゃダメ!」などのTipsもあるよ。

「パシフィック・リム」に続き、華奢ながらも凜とした日本女子が大活躍していました。ヒロインの二人ともなじみのない顔で、最近出て来た新人女優さんなのかしら、と思ってたら、モデルさんだったんですね。ファニーフェイスの赤毛の子、よかったなぁ。刀を持った決めポーズもサスガに決まっていました。それにしても、日本女子と欧米男の恋愛が映画ででてくると、どうしてどれもこれも、おままごとになっちゃうんだろう。ケミストリーが全然ないのですが、どのカップルも。日本人はやっぱり欧米人に比べると淡泊で、そういうタイプに見合ったしっとり系で、微妙な距離感のある演出がなされないと、うまく恋愛の情感が出ないのかな。

ハリウッドでは日本リスペクトな映画が立て続けに公開され、オリバー・ストーンが広島に現れ、年末にはネオ版『赤穂浪士』が控え、さらに来年には第2次大戦の大森捕虜収容所に収監された米軍兵士の実録ものがアンジェリーナ・ジョリーの手によって映画化される。なんでしょう、このにわか蜜月関係。いばりんぼうになった中国だと下手なことできないから、かわりにアゴで使える日本に目を向けて、かつての大国としてのプライドをなぐさめているのかい、アメリカよ。

※※※ネタバレ※※※

最後、ウルヴァリンの「ボディガード役」としてついてきたあの子、その後どうなったんだろう。クレジットの後のおまけ映像の、2年後のウルヴァリンのそばには、いなかったけれど。

そしておまけ映像までとってつけた感がぬぐえていませんでしたよ。

監督は、『17歳のカルテ』など、人間ドラマ出身のジェームズ・マンゴールドでした。不思議の国・クールジャパンで魂の彷徨をするウルヴァリン。自分は見つかったのかね。


1 件のコメント:

電気羊/e-sheep さんのコメント...

"Empire"誌の「列車アクションシーンベスト20」が面白いですよ! 『ウルヴァリン』ももちろんランクインしています。1位は、インド映画『Robot』!! そして選外佳作として、『ウォレスとグルミット』が入っているところが、さすがイギリスの映画雑誌!


★20 Of Cinema’s Best Train-Based Fight Scenes
http://www.empireonline.com/features/cinema-best-train-fights