2013年9月15日日曜日

"Austenland" 『オースティンランド 恋するテーマパーク』

 "Austenland"とは、英国の作家ジェーン・オースティンの小説世界に浸れる、架空のテーマパーク/宿泊施設。ゲストはクラシックなイギリスのカントリーハウスに泊まり、当時の衣装を身につけて、小説中の登場人物のように振る舞います。この映画は、オースティンファンのアメリカ人女性ジェーン(ケリー・ラッセル)が、貯金をはたいてイギリスにあるオースティンランドに遊びに行く、というストーリー。目的はズバリ、自分のミスター・ダーシー(『高慢と偏見』の登場人物)との出会いだ。




原作小説があるようです。シャノン・ヘイルの同名小説を、『ナポレオン・ダイナマイト』の脚本家ジャルーシャ・ヘスが脚色・監督。『ナポレオン・ダイナマイト』……オースティン作品とは天と地ほども違うんですが……。オースティンランドのオーナー兼女主人役をジェーン・シーモア、ゲストをもてなすジゴロ、もとい紳士役のひとりに、『バトルスター・ギャラクティカ』のジェームズ・キャリス、もうひとりのアメリカ人女性のゲスト役役に、ジェニファー・クーリッジが分しています。

いちおう、『ブリジッド・ジョーンズの日記』のように、主人公のジェーンが『高慢と偏見』のリジーで、ダーシーにあたる「理想の男性」役(JJ・フィールド)やウィッカム役(ブレット・マッケンジー)もいて、ジェームズ・キャリスの大佐はミスター・コリンズ、ジェニファー・クーリッジはミセス・ベネット的な役回りなのだと思いますが、作品においての役回り(=登場人物たちの認識外)が、作品中で登場人物たちがごっこ遊びで演じる役回り(=登場人物たちは心得ている)に重なったり、または違う役回りが振り当てられていたりという、メタメタ・フィクション(?)ぶりがうまく機能しているとは言い難いです。うまくいけば、すごくインテリジェントな楽しみを得られたと思うのですが……。原作はどうなんだろう。

このオースティンランド、ターゲットは女性にのみ絞っているのでしょうか、紳士役はみんなゲストではなく従業員、使用人役も真っ黒に日焼けした軟派なイケメンたちで、メイドたちは年かさのおばさまたちばかり。

フロリダのビーチの方が似合うような使用人たちに代表されるように、ぜんぜんオースティンぽくないオースティンランドの演出、どういう狙いなのかさっぱりつかめませんでした。全然、ゲストのニーズに合っていないと思うのですが……。ハリボテのテーマパークの現実を見せたかった? 浅はかな夢を見る乙女達を揶揄したかった? それに、ゲストはみんな自分がリジー役になるのを求めるでしょうに、当て馬的な役を振られたゲストたちが、喜々として進んで脇役キャラを演じるのも不条理です。最後の方はなかなか上手にまとめたけれど、一番面白いのがエンドクレジットのお遊びクリップとは、とても成功作とはいえないんじゃないでしょうか。主要観客層たるオースティンファンにケンカ売ってどうするんじゃい。この映画そのものが、ダーシーの役を振られたと思いこんでいるミスター・コリンズでした。

ダーシー大好きのジェーンの部屋は、ダーシーグッズで溢れてます。等身大の段ボール製ダーシー(もちろんコリン・ファース版)なんかもあります。首折られちゃって……(折られたまま放置しておくなんて、ファンじゃないよ)。

そういえば、今年の夏、イギリスの新しいTVチャンネルが宣伝のため、湖に飛びこんだコリン・ダーシーの像(3.7メートル、ファイバーグラス製)を、実際にロンドンの湖の中に設置して、話題を巻いてました。なんだか香港のラバーダックみたい。





3 件のコメント:

電気羊/e-sheep さんのコメント...

だいたいさ、オースティン・ファン=男狂いでも、コスプレ好きでもないよ。なめとんのかい。こう見えても大学の公開講座でハイソな有閑マダムたちに混じって『高慢と偏見』翻訳講座に通ったんだぜぇ。

匿名 さんのコメント...

こんにちは。「オースティンランド」DVDが出たので観てみました。そして、なんかモヤモヤしたので、検索をかけたところ、こちらのブログの記事を発見し、違和感の正体がわかってすっきりしました。
「オースティンランド」のキャスト、確かにオースティンぽくないですよね。男はイケメン、女はオバサマばかり…女性向けの風俗店のような場所で、インチキ臭いです。ヒロインもなんだか魅力的じゃない気がします。

電気羊/e-sheep さんのコメント...

こんにちは! コメントありがとうございます。

ですよねぇ。
日本ではDVDが出たんですね。

オースティンファンをうならせるオマージュ映画を観たいです。