2013年9月23日月曜日

"Prisoned" 『プリズナーズ』

ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール主演のサスペンス映画です。批評家から高い評価を受けており、映画賞レースに絡んで来ると目される一本です。

感謝祭の日、ペンシルヴァニア州に住むドーバー一家は近所に住む友人のバーチ家を訪ね、楽しい1日を過ごす。だが、気がつくと、両家のそれぞれ6才になる娘の姿が見えない。家族は必死に近所を探し回るが、見つからない。そういえば、昼間、怪しいRVが道ばたに停まっていた。警察に捜索願いを出すと、その夜のうちに該当車と思われるRVが発見され、運転手が逮捕される。その人物アレックス(ポール・ダノ)は10才程度の知能しかなく、車内からも誘拐の痕跡は何も発見されなかったため、すぐに釈放される。だが、アレックスが犯人だと信じるケラー・ドーバーヒュー・ジャックマン)は、彼を拉致して廃屋に監禁し、娘たちの居所を吐かせようとする。どんな手段を使っても———。


といったストーリーです。捜査を指揮するロキ刑事にジェイク・ギレンホール、ケラーの妻にマリア・ベロ、バーチ夫妻にテレンス・ハワードとヴァイオラ・デイヴィス、という布陣。監督は、『灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。フランス系のカナダ人なのだとか。

上映時間2時間半のこの作品、犯人捜しのミステリーとサイコ・サスペンスの両方を存分に堪能出来、『セブン』になぞらえる評もありました。マジで、『死霊館』なんかよりよっぽど怖かったです(←根に持っている)。この映画は、一人のヒーローが物語を引っ張って行くのではなく、ハートで行動する熱血親父のジャックマンと、理性を拠り所とするギレンホール、2つのベクトルのせめぎ合いが見どころになっています。ある場面では、法を無視しても自分の手で娘を取り戻すそうとするジャックマンを応援し、次の場面ではギレンホール刑事の確かな推理・捜査能力を頼もしく思う。観客は両者の間で行ったり来たり、ピンポン球のように翻弄されっぱなしです。

雪の積もる森の中を1頭の鹿が歩く。1発の弾丸がそれを仕留める。撃ったのは、10代になるケラーの息子だ。父親に仕込まれ、はじめて仕留めた獲物をトラックの荷台に積んで、家路に向かう父子。映画は、そんな場面で幕を開けます。ケラーがどんな父親なのか、どんなことにcapableなのか、多くを語る登場シーンです。ロキ刑事が登場するのは、娘たちがいなくなった後、夜の中華レストラン。確か、最初に映るのは背中じゃなかったかな。お客はロキ一人で、ウェイトレスと干支の話をしています。ウェイトレスは申年で、賢いんだけど、雇い主の干支(何かは忘れた)はごうつくなの、みたいな会話で、これまた、ロキの置かれたシチュエーションを暗示してます。

銃を携帯し、自分がクロだとみなした者を問答無用で拉致監禁・拷問するようなケラーにエールを送るのは、銃反対、ジョージ・ジマーマンみたいな人物を嫌悪してきた自分のポリシーに反することで、映画を観ながら自分の中で葛藤してしまいます。私のポリシーって脆弱。

ちょうど『アクターズ・スタジオ』にギレンホールが出ていて、この映画についても触れていました。撮影監督のロジャー・ディーキンズの指示で、映画の中で太陽は一度も映らないとか、ロキ刑事のチック症はギレンホールのアイディアとか(知能が高く、寡黙な人にしばしば見受けられるから)。監督のフレンチなアクセントを真似して、「ヒュー・ジャックマン」を「ユージ・アックマン」って言ったりして、面白かったです。

ギレンホールといえば、『ブロークバック・マウンテン』にはやられまして、入れこみすぎていまだに再見できずに1度しか観てないのですが、ヒース・レジャーとはそれより前、一緒に『ムーラン・ルージュ』のオーディションを受けたんですって。やっぱり、気さくな口ぶりのヒースの口まねをしてましたが、家族同様な彼の死を、いまだに悼んでいるのがわかって、ちょっとなぐさめられました。あと、影響を受けた俳優が、ダニー・ケイとポール・ニューマンというのもツボでした。:-)

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