2014年12月3日水曜日

三鷹コミュニティシネマ映画祭

会場となった三鷹産業プラザ
(しばらく日本にいます)

三鷹コミュニティシネマ映画祭に行って参りました。

第5回となる今年は、11月22日〜24日の3日間に渡って開催されました。

35mmフィルムによる上映で、午前中は往年の東映まんが映画が上映され、ワンコイン(500円)で観ることができます。午後の部は、1日目が『天井桟敷の人々』、2日目が高畑勲監督特集(トークショーあり!)、3日目が女優の渡辺真起子特集(トークショーあり!)というバラエティに富む魅惑のプログラムです。



『西遊記』フィルムリール
1日目の最初の1本は、東映まんが映画の『西遊記』(’60)。ちびっ子連れのお母さんたちのほか、年配の方も結構いらっしゃっていました。昔、映画館でご覧になった方々かしら。

さて、上映が始まると、フィルムの右側に線が入っているのに気がつきます。さすがフィルム上映。でも、すぐに線は消えました。映写機のカタカタいう心地よい音に身を任せながら、柔らかい描線と色づかいで描かれたお猿たちに見入っているうちに、思い出しました。この映画、小さい頃、TVで観たことがあります。吹雪の中、心優しいお猿のリンリンが、お釈迦様に閉じこめられた悟空のために果物を持ってくる場面も覚えているし、沙悟浄の愉快なマンボ踊りに家族で笑ったりもしました。孫悟空のでたらめの歌も好きだな。今こうして観ても、いささか昭和な香りの小鬼ちゃんキャラをのぞいては、デザインも思ったよりずっと洗練されていて(金角銀角がかわいい)、絵もきれいで動きだってなめらかだし演出も飽きないです。リンリンの女の子像は、ちょっとだけ今とはそぐわないかもしれませんけどね。今どきの子どもたちの目には、どう映ったのかな。

一日だけの三鷹オスカーが、観客を迎える
午後はぐっと大人向け、フランス映画の名作『天井桟敷の人々』(’45)、第1部&2部一挙上映です。これは「一日だけの三鷹オスカー復活」という冠がついています。昔は三鷹に映画館があって、館主をされていたご一家(『ほんとにあった怖い話』等の鶴田法男監督と、その兄上の浩司氏)が、毎年、上映作品選びをされているのだとか。上映前には列が出来、映画祭もいよいよ熱気を帯びて参りました。

『天井桟敷の人々』は、とても有名な作品ですが、私は観るのは初めて。題材的に苦手そうだなと思っていたのですが、いやいやいやいや、素晴らしかった……。これを35mmで観られるなんて、なんて貴重な機会に立ち会えたことよ。観客にはフランス人(推定)も混じっていました。映画のヒロイン、ガランスは、だれもが一目で恋に落ちてしまうほどの美女、という役どころなのですが、私の目にはまったくそういう風には写らず、ただの年増の大造りなおばさんにしか見えなかったんですが、第1部の最後の方あたり、主役のパントマイム役者、バチストを愛するようになるあたりから、なんだかとても美しく、つややかに輝いて見えて来ました。映画ってすごいなー。演じているのはアルレッティ。この人の『悪魔は夜来る』はTVで観たことがありますが、やはり同じ印象を受けました。すると、すごいのはアルレッティか、はたまた彼女のポテンシャルを見抜いた監督たちか。主人公のバチストの来歴と行動、彼を取り巻く一癖も二癖もある人々とのグタグタの展開が面白く、たいへん濃厚な映画でした。フランス映画っていつもグダグダな展開になるのはなぜなのか。会場内で供されていたボージョレヌーボーを片手に鑑賞するのが正解でしたね!

太陽の剣!
2日目は、午前の部の『ホルスの大冒険』をふくめ、高畑勲監督特集です。『火垂るの墓』は、辛い映画だから観に来るか迷いましたが、これは自分ちでダラダラ観るよりも、こういった場で観るほうが相応しいように思い、観ることにしました。かー、やっぱり泣いちゃう。
『かぐや姫の物語』は、ブルーレイによる上映です。やっと、観ることがかないました。アメリカではちょうど今頃公開なのです。まさかかぐや姫で泣くことになると思わなかったよ。

映画祭とも監督の『かぐや姫』とも何の関係もないのですが、
私の教え子の日本語学習者が、映画公開のずっと前に作った
「かぐや姫」のお芝居。


ここに監督と司会の小島一宏氏が座ります!
そして、監督を迎えてのトークショー! ひゃー、たった今見たばかりの、すごい作品を監督したその人が! この場に! これぞ映画祭の醍醐味ですねー。高畑監督は、ずっと前、ユーリ・ノルシュテインが来日して『外套』の一部を上映したんだったか、エイゼンシュタインの『イワン雷帝』の講義をしたんだか(思い返せばとんでもなく貴重な講義だった気がする)の時、顔を出してお話された時に生で見た記憶がありますが、その頃と全然外見がお変わりなかったです。トークショーの内容は、こちらに載っています。

★シネマトゥディの高畑勲トークショーレポート
http://www.cinematoday.jp/page/N0068391

日本映画専門情報サイトのレポート
http://www.fjmovie.com/main/news/2014/1123_mitaka.html

個人的には、『天井桟敷の人々』について、監督は1パラグラフぐらいでズバリと映画の意味を教えてくださって、目から鱗でした。そういうことだったのか。いつまで経っても浅い見方しかできずに恥ずかしい限り。3DCGアニメについての話、戦時の日本人のメンタル、建築の話など、いろんなトピックが出て、興味深いトークショーでした。会場には、アニドウの並木氏もトークショーを聞きに来ていました、うわさの下駄ばきで。

高畑勲監督の色紙!
私は1日目と3日目は、映画祭のボランティアスタッフとして参加しましたが、この日は1観客として映画祭を楽しんだので、トークショーが終わるとすぐに帰りました。終了後、監督はスタッフたちと気さくに交流され、サインをもらっちゃったりなんかもしたそうで、超うらやましいっす。でも、もし紛れて残っていたとしても、畏れ多すぎて何も聞けなかったかな。『ホルス』も『赤毛のアン』も好きすぎて。本当は、どうして『かぐや姫』のキャラクターはあんなに等身が低いのか、すごく聞いてみたいけれどね。

3日目の東映アニメは、『長靴をはいた猫』。森やすじのキャラクターがラブリー過ぎる。子どもたちがキャキャって笑ってたのがよかったな。特に追いかけっこの場面は、鉄板ね。キャラクター造型もリズムも見事だから、何度観ても、大人でも、楽しいです。やっぱりこれも昔テレビで観たなあ。「ビックリしたニャ」っていう歌、母親が好きで、家事をしながらよく歌っていました。9月に母は他界したけれど、親子でこういう映画を観るのってやっぱりいいよね……。

女優の渡辺真紀子さん&中野量太監督の色紙!
午後は、三鷹出身の女優、渡辺真起子特集です。『愛の予感』は、観客が試される映画でした(途中ちょっと負けちゃった。すんません)。映画って何、って考えちゃうような、虚飾をとっぱらった、抜き身の作品でした。きれいきれいな、逃避的な娯楽として、映画が好きなお前が、その好きなフリフリの部分を全部とっぱらっても、それでも映画が好きか? その問いかけへの答は、もちろんイエスでもノーでも、それは全然構わない。二者択一なわけでもない。ラース・フォン・トリアーのドグマ映画もそんなコンセプトだったか。会場には、小林政弘監督もいらっしゃっていて、あとで写真を見返したら、どれもハッとするほど、すごく優しい目をされていて、ああいう目の持ち主が、ああいう映画を撮るのかと、さらにうなってしまいました。

『チチを撮りに』は、ロビーでスタンバっていなくちゃいけなくて、観れませんでしたが、真紀子さんや中野量太監督、たくさん撮りましたよ。トークショーでは鶴田兄弟と、三鷹について、映画について、女優業について等々、語られました。終わった後、渡辺さんは、三鷹時代の友達と会って、楽しくおしゃべりしていました。

★シネマトゥディの渡辺真紀子トークショーのレポート
http://www.cinematoday.jp/page/N0068407

(株)まちづくり三鷹所有の35mm映写機
私は日本とアメリカ両方の映画祭の手伝いをしたことがありますが、この映画祭は、現役の映画クリエイターの方々が企画・運営に関わられているためか、スタッフ、観客、ゲストとの距離がとても近く感じられる映画祭でした。地元の映画好きの方たちと知り合いになれたらいいなと思ってボランティアに加えてもらった狙いは見事に当たり、楽しい3日間を過ごさせていただきました。三鷹はいい町だなぁ。映写担当の方に、映写機の仕組みを教えてもらったり、フィルム交換のタイミングを見つけようとしながら映画を観たのもおもしろかったです。でもどうしても映画に入りこんでしまって、映写機の変わるガシャンという音(2台体勢の映写機のすぐそばで観ていたので)で、ハッと気づいてばかりでした(^_^))映写機は、映画祭実行委員の事務局であ株式会社まちづくり三鷹の所有なんですって。

2 件のコメント:

ロク さんのコメント...

とてもとてもいいレポート有り難うございます。
楽しく読ませてもらいました。
水野さんのセリフじゃないけど「映画ってほんとにいいものですね。」

電気羊/e-sheep さんのコメント...

ロクさん、
コメントをありがとうございます!
新しい映画も古い映画も観られる映画祭って、すごくいいですね!