2015年1月15日木曜日

"How to Train Your Dragon 2"『ヒックとドラゴン2』

※2014年の春に書きました。祝GG賞受賞ということで、遅まきながらアップ。

ドリームワークスのCGアニメーション、『ヒックとドラゴン』の続編です。

<続編>と聞くと、たいていはオリジナルより格段に落ちるか、オリジナルの80%ぐらいの満足が得られれば、御の字、と映画ファンは思うのではないでしょうか。

この作品に関しては、公開前から、CGアニメーション業界人たちの間で素晴らしいとの前評判が聞こえて来ましたし、全米公開に先立って上映されたカンヌ映画祭でも、たいへんな好評だったというヘッドラインが目を引きました。それでも、まあ続編だから、スケールアップして見せ場なんかもより派手になっているのだろう、程度の期待で、観にいきました。

たまにですが、あるのね。1作目の精神を裏切ることなく、なおかつ1作目に勝るとも劣らない興奮と感動を与えてくれるような続編が——。



素晴らしかったです。ここんとこ、私の一番のお気に入りCGアニメーションは、同じくドリームワークスの『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』だったんですが、それを上回っちゃいました。

お話は、前作から数年経って、ヒックも少年から青年期に入ろうとしているところ。ちょうど、「僕ってなんなの?」と自分探しを始める頃です。一族の長たる父親の求めるような、マッチョな戦士にはとうていなり得ず、かといってそれ以外のロールモデルも見あたず、自分の生き方が見えてこないヒック。……なんて書くと、ウジウジした青春映画みたいですが、そこが高品質のアニメーション映画の強味で、ヒックが相棒のナイトヒューリーにまたがって、大空を縦横にひとしきり飛んだ後(どうやら地勢調査をしていたらしい)、見知らぬ島の断崖絶壁に腰かけて物思いにふけっていると、今や父親公認のガールフレンド、アストリッドがやっぱり愛竜を駆って飛んできます。地上何百メートルもの断崖の上で、冷え冷えとした北の海を見下ろしながら、ドラゴンたちと彼女に囲まれつつ「自分とは……」なんて悩むなんて、贅沢すぎるでしょ。

さて、ウジってる間もあらばこそ、話はどんどん急展開し、ヒックは新手の敵対的な一族から、近々ドラゴンの軍団を引きつれた武将がヒックたちの村を襲う、と警告を受けます。争いを止めさせるため、敵に話をつけにいこうと、父親の制止をふりきりトゥースレスを駆って飛び出すヒック。そこで出逢ったのは、三層の翼を持つ大きなドラゴンにまたがった戦士でした。戦士はヒックとトゥースレスを捕らえるが、ヒックのドラゴンへの友好的な態度を見て、仮面を取って自分の素性を明かします。それは、赤ん坊の時にドラゴンに殺されたと聞かされていた、実の母親でした。

この母親が、超カッコイイです。動きと思想はナウシカ、態度はクシャナ。声は、最後まで分からなかったのだけど、ケイト・ブランシェットでした! すごい魅力的な声をしていたんですねー。20年ぶりに再会した夫との場面が、ただの子供だまし映画じゃない、スタッフの本気と意気を感じます。

ヒックが、悩みながらも最後までpacifistの立ち位置を崩さないところが、ホントに素晴らしい。

1作目の自分の感想を読み直したら、やっぱりヒックをナウシカにたとえていて、進歩のなさに軽く絶望しますが、それだけこのシリーズに一貫性があることの証明かも!? もう4年も前のアニメーションなのに、今でもいきいきした印象の残る作品です。

ところでこの映画、『マレフィセント』を観たときにもらったタダ券で観たのですが、3Dはsurcharge(割増金)が必要だと、5ドル取られました。ちぇ、ケチ。

+++++++++++++++++
このシリーズ2作の、子供だましに陥らない骨太さに感激した羊ですが、原作の児童書を読んだら、もっともっと深くて、さらにビックリしました。これでもまだ、ハリウッド風にというか、登場人物たちは派手目な設定に、ストーリーは単純化されていたのですね。原作のトゥースレスは、ずっとチビのわがままでいたずらなヘイボンドラゴンのまんまで、すごくかわいいです。アストリッドは、「カミカジ(Camicazi)」という名前でした。(^_^) 児童書をなめたらあかん、と改めて思い知らされます。最終刊はまだか。

+++++++++++++++++
アカデミー賞の発表を間近に控え、ドリームワークスは本作のメイキングを丸々サイト上にアップして誰でも無料で閲覧できるようにしました。日本からでも観られますよ!

http://www.dwaawards.com/video/

とても熱くなるメイキングです。監督はじめ、スタッフたちの本シリーズへの思い入れにあふれていて。ヒック役のジェイ・バルチェルも例外ではなく、「僕は明日死んだっていい。だってこの作品に関われたんだもの」とコメントしています。

このメイキングは、ブルーレイにもおまけとして収録されるそうです。

Facial riggingをペンタブレットで操作できるやつ、いいなあ……。

さて、受賞するのは本作か、それとも番狂わせの『かぐや姫』か。

0 件のコメント: