2015年10月29日木曜日

“The Martian” 『オデッセイ』

リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演のSF映画で、2015年10月現在アメリカで大ヒット上映中。

という程度の予備知識だけで、「サンタ出戻り記念」(戻って来ました)として観に行きました。小屋はおなじみダウンタウンのシネマ9。マチネーの3D映画に対し、値段は12.5ドルで、窓口でパネルを見ながら座席を指定する仕組みになっていました。おお、とうとうサンタにも文明の波が!

1年ちょいぶりに戻ると、館内の座席も替わっていました。大きな安楽椅子のようなというか、飛行機のファーストクラスみたいなフカフカ座席で、肘掛けが幅広い分、隣の人とすき間が広がって快適だし、アメリカサイズの客が身じろぎする度に椅子がギィギィ悲鳴をあげることもなくなっていいのですが、もたれると足が地面に届きにくくなるのが難点。と思ったら、実は足乗せ部分が可動だったことが次回に判明。まさにカウチポテト状態で鑑賞できるようになっていました。

さて、予告編が終わって3Dメガネをかけ、本編が始まりましたが、画面が緑色や灰色に見えるばっかで、ちっとも立体的に見えてくれません。自分の目が悪くなって、とうとう3Dに適応できなくなったか、と軽くショックを受けていたら、映写自体の問題だったらしく、他の客が注意に行ってくれ、数分後に無事3D映像に見えるようになりました。こういうところはちっとも変わってません(^_^;)。ちなみに客はほんの数組な点も。

そんなわけで映画冒頭、ストーリーに集中できませんでしたが、火星の地表で任務遂行中の宇宙飛行士たちが、想定外の嵐に見舞われてやむなく任務を放棄、宇宙船に待避する途中、1名にパラボラアンテナがぶつかってどこかへ飛ばされた、ということのようです。船長が探しに行くけれど見つからず、バイオサインも消えたので死んだものと判断し、嵐で船がやられる前に火星を脱出します。(この辺で映像が正常になった)

はじまって2,3分で主人公が死んじゃったぞーと思ったら、これはゾンビ映画ではなくSF映画なのでもちろん実は生きていて、それから話はどうやってひとり取り残された彼が火星でサバイバルし、地球に戻るのかという展開になります。

すっごく面白かったです。コンセプトはついこないだの「ゼロ・グラビティ」を彷彿させますが、あちらは本当に最初から最後まで孤軍奮闘だったのに対し、こちらは火星では主人公が徒手空拳でがんばるけど、彼の生存が確認されてから(そこにいたるまでの過程はみどころのひとつ)は、地球ではNASAの仲間たちが知恵を絞って彼を助け出そうとして、それぞれの立場と得意分野のかき分けも丁寧かつ迅速でした。こういった映画でロシアのロの字も出てこない代わりに、かの国がそのポジションをしめているのが、いまどきでした。

『エイリアン』に続き、またひとつ宇宙ものの傑作をものしたスコット監督の面目躍如ぶりがめでたいです(私は『プロメテウス』も傑作だと思うけど世間の評価は違うようなので)。それにしても監督は腹部を痛めつけるのか好きなのか。意識を取り戻したワトニー(デイモン)が、腹部に刺さったアンテナを引き抜いて傷口をホッチキスで留めるところ、痛そうでした。どうして宇宙服から空気が抜けきらなかったのか疑問だったのですが、原作を読むと、出血のせいで穴が塞がれたんだそうです(映画でも説明してたかもしれないけれど、だとしたら聞き漏らした)。この箇所じゃないけれど、原作では「ほんとうの話、宇宙では小さい女の子みたいに悲鳴を上げても、だれにもきこえません」とワトニーが独白しているのが面白いです。まさかスコット監督で映画化されるなんて、これが処女作の作者は思ってもいなかったでしょうに。(『エイリアン』公開時のキャッチコピーが「宇宙では、あなたの悲鳴はだれにもきこえない」でした、FYI)いや、ちゃっかり思ってたのかな。いずれにしても、いつもの冷血な人物造形とはガラリと趣の変わった、血肉の通った親しみの持てる人間描写で、監督も老境に入って生ぬるいヒューマン系に転じる組なのかと勘ぐってしまうほどでした。『ブレードランナー2』はどんなテイストになるのかな。

宇宙に流れるカントリー・ミュージックという構図が鼻につき、「ゼロ・グラビティ」には乗れずじまいで残念だったんですが、この映画のBGMはディスコ・ミュージック。船長(ジェシカ・チャステイン)が残していったディスコ・ミュージックのコレクションしか、マークには音源がなかったのです。いいじゃん、ディスコ・ミュージック。

NASAの広報担当アニー役のクリスティン・ウィリグは、SNL(サタデー・ナイト・ライブ)出身組。あの番組出身のコメディアンたちは、役者としても器用にいろんな役柄をこなすので重宝がられます。フライト・ディレクター役をショーン・ビーンが演じていますが、それでちょっとトリビアルなシーンがあるのでお楽しみに!

細かい説明が分からなくて、映画を観た後で原作を読んだんですが、マーク・ワトニーがひょうきんな性格なので(訳すの楽しかったと思う)、くすくす笑えるところがちょこちょこあるのはもちろん、じわりと来るところも、数カ所ありました。アメリカ人て、ダクトテープ(ガムテープのもっと丈夫なヤツ)大好きなんですが、火星でも多いに頼りにしていて、「ダクトテープは魔法だ。崇拝されるべきだ」とマークもいってます。全体に深刻にならず、軽妙な語り口なのですが、それだけに、1カ所、映画には出てこないけれど、「そ、それを書くか」とひどくドキっとするところがあります。口当たりのよい語り口でも、内容はとことん考え抜かれてるんだな、と思わせます。

この日はちょうど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』デーで、シネマ9でも1日だけ、特別上映があったようで、当日の成績はBTTFが「バック・トゥ・ジ・アース」の『オデッセイ』ら新作をおさえて1位だったとか。私はテレビでやってたので観たのですが、画質がHD仕様になっていて、映画じゃなくてチープなテレビドラマみたいで慣れませんでした。マーティが撮影用のメイクしてるのまでばっちり分かっちゃうし。あと、ドクはしっかり「ジゴワット」って発音しているのにClosed Captionは「ギガワットgiga watt」って直してありました。この日、BTTFキャストは朝や深夜のトークショー番組に呼ばれていましたが、寸劇をやった時、ドクはセリフがちゃんと暗記できてないみたいでした。しばらくぶりに演じたんだろうなぁ。あと、ヒューイ・ルイスも出て来て映画のセリフをメガホンでしゃべったり、歌を歌ったりしてくれたのが楽しかったです。マイケルは当時、「ファミリー・タイズ」のプロデューサーが映画出演を渋った話とかをしてくれました。

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