2015年12月6日日曜日

“Brooklyn”『ブルックリン』

『ブルックリン』という映画を観てきました。

本当は、ケイト・ブランシェットの話題作、”Carol” 『キャロル』を観に来たのです。でも、映画館のもぎり嬢が「そんな映画はやってないわよ」というのです。スケジュール表を見ると、“Brooklyn”とあります。ああそうそう、そんなタイトルだったかも、と、一抹の不安を覚えつつも、とりあえず切符代を払ってScreen 6番の部屋へ。映画が始まり、若い女性が石造りの家の扉を開けて、出て来ます。あれ、ルーニー・マーラーの顔と違うな、と一瞬思った後、顔の主に思い当たりました。シアーシャ・ローナンです。あ、これケイト・ブランシェットの映画じゃないや。間違えちゃった。そういえば、シアーシャ・ローナンの主演映画のスチール、今朝観たわ。いや、いいんだけど、シアーシャかなり好きだから(『つぐない』も『ラブリーボーン』も『ハンナ』も『グランド・ブタベスト・ホテル』も好き)、観ようと思ってたし。でも、彼女が出てるって以外、まったくどんな映画が知らないし、『キャロル』を観るつもりだった気持ちをリセットしないといけないだけさ。


 1951年のアイルランド。伝手でアメリカで仕事を見つけてもらったアイリーシュ(シアーシャ)は、母と姉を残して、移民船でアメリカへ渡ります。ブルックリンに着いて、デパートの売り子さんをしながら夜学で会計の勉強をはじめました。最初はホームシックで泣き暮らしていたけれど、同胞のコミュニティでボランティア活動をしたり、下宿屋の女将(ジュリー・ウォルタース)に気に入られたり、イタリア系のボーイフレンドが出来たりして、段々と、異国の地での一人暮らしに慣れていきます。ところが、のっぴきならない事情で故郷に一時帰国しなければならなくなり——。

主人公は超地味で堅実な性格だし、特に大きな事件も起こらないし、この時代を背景にした社会的なメッセージがあるわけでもないけれど、とにかくスクリーン上に映るシアーシャを観ているだけで、至福の映画体験が出来ます。彼女、別にすごいフォトジェニックな顔ってわけでもないのにね。というか、この映画のシアーシャ、ヒラリー・クリントンみたいな顔をしていて、20年後ぐらいには政界目指してそうなコンサバ臭をまとっています (^_^;)。 フォトジェニックっていったら、『マッドメン』のメーガン役の女優さんがデパートのお局様役で出ていて、相変わらず超あでやかでした。デパートでのアイリーシュの担当は、お客様の買った何かを、金属製の筒状の小さな機械にセットして、シュワーって何かの処理をしてから手渡すというものなのですが、それが一体何なのか謎で、知りたいです(^_^;)

映画が終わって、びっくり。脚本、ニック・ホーンビー(『アバウト・ア・ボーイ』『フィーバー・ピッチ ぼくのプレミア・ライフ』の作家)でした! 

鑑賞後に読んだ2つの映画評(http://www.sfgate.com/movies/article/A-beautiful-tale-of-an-Irish-woman-in-mid-century-6625211.phphttp://www.rogerebert.com/reviews/brooklyn-2015)が、私が感じた言葉にできない感想を、うまく表現していました。奇しくも、2つとも、「マジカル」という単語を使っています。一方は、コルム・トビーンの原作小説『ブルックリン』に対してですけれども。

シアーシャ・ローナンについては、どの評もほぼ絶賛していて、アカデミー賞ノミネートは確実視されています。また、イタリア人のボーイフレンド役を演じたエモリー・コーエンへの評価も高かったです。アイルランドに帰国した時にいい感じになる青年はドーナル・グリーソンという俳優が演じていますが、数週間前に観たばかりの”Ex Machina”の主役をやった人だとは、まったく気がつきませんでした。(”Ex Machina”、この手のテーマの映画としてはベストです)彼は『アンブロークン』や『スターウォーズ』の新作にも出ているみたいで、ちょっと要注目みたいですね。

イタリア人のボーイフレンドのお宅にはじめて行く時、下宿の女の子たちにスパゲティの食べ方を教えてもらうシーンが楽しくてお気に入りですが、アイルランド人のホームレス老人がクリスマス・ディナーの施しの席で歌うアイルランドの歌(ゲール語かな?)は、アイルランド人でもないのにウルウルすること請け合いです。rogerebert.comの評者(♂)も「途中から涙腺緩みっぱなしだったわ」と書いています。でも、決して、お涙頂戴映画じゃないんですよ。(^_^)

そして、アイルランドを出航した船で同室になった女性から、ニューヨークのエリス島に着いた時の税関審査時の心得を受けるところが、最後の方ですごい効果を発揮してみごとです。

ひとつだけひっかかるところがあって、イタリア人のボーイフレンドとカフェで食事する時、編集のリズムがくずれるところが、ワンカットだけあるのです。気のせいかな、と思ったのですが、アイルランドでいい感じになった青年との会食シーンでも、またあったので、きっと意図的なんじゃないかと思います。一瞬なのでDVDで見直さないといけないけど。


それにしても、なんでアイルランド映画ってどれもズンズン揺さぶってくるのかしらね。(^_^;)

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