2016年1月27日水曜日

"The forest""Joy"『ジョイ』"Anomalisa"

"The forest"『JUKAI 樹海』

期せずして、これが今年1本目の映画になりました。
自殺の名所として有名な富士の樹海(suiside forest)を舞台にしたホラーです。

サラ(『ゲーム・オブ・スローン』のナタリー・ドーマー)は、双子の妹ジェスが富士の樹海で行方不明になったととの知らせを受けます。周囲の者は、ジェスはすでに死んだとみなしていますが、双子の不思議な絆で、まだ生きていることを確信したサラは、単身日本へ。東京から電車で富士の青木ヶ原に向かい、現地で知りあったオーストラリア人のエイデンと日本人のガイドとともに、樹海に踏みいります。ジェスの手がかりを求めて……。

前評判がかなりひどかったので期待をせずに行ったら、結構どきどき、怖かったです。
怖いのに、ひどく退屈して終わるのが待ち遠しくなるという、不思議な映画体験ができました。

日本人なので突っこみどころがいろいろあります(富士の樹海に姥捨て山伝説が混じっているところとか)が、童謡の「とおりゃんせ」をOPとEDに使うのが、渋かったです。アメリカ映画ですが、スタッフ名が軒並みスラブ系っぽい名前でした。

今年はガス・ヴァン・サントが渡辺謙を起用して、やっぱり富士の樹海が舞台の映画が公開されるみたいですが、そっちはきっとぐんと見応えがあるんだろうなぁ。ガス抜き(あら、シャレよ)のためにも、是非併映して欲しいです。

"Joy"『ジョイ』

世界にひとつのプレイブック』のデイヴィッド・O・ラッセル脚本・監督、ジェニファー・ローレンス、ラッセル・クーパー主演。デニーロも続投。なんでも、モップのアイディア商品でひと山当てた実在の女性の伝記映画だそうです。

『プレイブック』でローレンスの激おこ演技に痺れまくったので、今回も彼女を観ているだけでも満足できるだろうと思って、モデルの女性のことは何一つ知らなかったけれど、観にいきました。ローレンスは、この役には若すぎると、批判が出たようです。

『プレイブック』は周囲を巻きこむ劇場(激情)型の役でしたが、今度は勝手気ままな家族に翻弄される女性の役でした。どんなに足を引っ張られても、ひとりの家族も見捨てない(「オハナ」だねー、『リロ&スティッチ』の)ヒロインは、雑草のようなしぶとさ。『プレイブック』も、本作も、最近遅まきながらはまっているTVドラマの『ハウス』もそうなんだけど、アメリカ作品の登場人物って、どうしてこうも、みんなして自己主張するんだろう。引くことを知らない。ケンケンケンケン、疲れちゃう。お互いをぶつけ合わないと、話が始まらないと思っているみたい。ラッセルのキャラクターと小津映画のキャラクターを戦わせたら、どうなることやら。

テレビショッピングのQVCでモップを売るので、CEOだかプロデューサーだかのラッセル・クーパーがヒロインに現場を案内するシーン(ここんとこ)が楽しいです。


"Anomalisa"

チャーリー・カウフマンのストップモーション・アニメーション(“Mary Shelley’s Frankenhole” っていう皮肉がキツすぎるTVパペット・アニメの監督デューク・ジョンソンとの共同)

『マルコヴィッチの穴』同様、アイディンティティ・クライシスに陥った主人公の脳みその内と外入り乱れた、シュールですっとぼけたストーリーでした。

カスタマー・サービスの指南書がベストラーとなったマイケルは、講演のため、飛行機でシンシナティを訪れます(もちろん飛行機の着陸シーンもストップモーション)。この地には過去にひどい別れ方をした女性が住んでいて、ホテルから思いきって彼女に電話をすると、ラウンジで落ちあうことにします。でもやっぱりものわかれに終わってしまう。映画の進行に従って分かるのですが、マイケル以外のキャラクターは全員同じ顔で、同じ声(トム・ヌーナン)なのです。元カノもおんなじ、トム・ヌーナンの声。マイケル、重傷です(「フレゴリの錯覚」という症状なのだそうです)。でも、その夜、ちゃんと顔も声も、個性のある女性に巡りあいます。

メイキングもレビューもノーチェックなので、実際のところは知りませんが、パペットはたぶん3Dプリンタで作ったのでしょう。顔がとってもリアルでした。口や目のパーツを取りかえる方式のアニメーションなのですが、パーツの色味が微妙に違うので、マイケルがしゃべるたんびにチカチカします。あからさまなので意図的なのかな? マイケルの泊まるホテルの部屋が主な舞台なのですが、お芝居の細やかなことといったら。電話をかけたり、歩いてかみ切れを取りに行ったり、コーヒーを入れたり。役者さんに演技をさせた実写を収めたフィルムをトレースするロトスコープ立体版みたいなことをやっているのかな。

等身は5等身なんだけど、指の動きがむちゃくちゃ繊細で、アーマチュアとかどうなってるんだろう?? パペットの手にしたグラスの中の液体が揺れたり、超細かい演出なのですが、そこはCGなのかな?

太陽が、西から東に昇っていたような気がします。

なんか、"The forest"に続いて、非常に意外な日本の歌が、出て来ます。それから、エピローグで、日本人だったら頭を抱えるようなセリフも飛び出します。どこでどうしてそうなった?

マイケルの声は、デイヴィッド・シューリス。エキセントリックな役ばっかなのに、あんがい聞き心地のいい声だったんだなあ。ヒロインの声は、ジェニファー・ジェイソン・リー。この人は昔、『ヒッチャー』と『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣』でルトガー・ハウアーと共演していたので気にかけてたのですが、もうずっと見かけないと思ったら、2015年は本作に、タランティーノの『ヘイトフル・エイト』と、また表舞台に出て来てうれしいです。あ、声の仕事は裏方か。

あとでNY Timesの記事を拾い読みしたら、もともとは俳優の声と効果音のみで構成した舞台劇として作り、その後クラウドファンディングで資金を募り(エンドロールに名前のリストが出て来ます)、製作に2年かけたそうです。1日かけて2秒分、セックスシーンには半年かかったそうです。服をぬがせるのからして、パペットを切り刻んでからまたくっつけたりと、試行錯誤したそうで、そういえばパペット同士が接触するアクションは、パペットアニメでは非常に難しい、とバリー・パーヴス(ジョークとしてではないシリアスなパペットのセックスシーンを描くのに成功した最初のアニメーター)も自伝に書いてました。

お芝居にも出ていたジェニファー・ジェイソン・リーは、お芝居では「タイタニック」の主題歌を歌ったそうですが、映画化の際に許可が下りなくて、それで「シンディ・ローパーのダンスフロアはカフェテリア」になったそうです。

ニューヨークの美術館で3月まで、セットの展示をしているんですって。行きたいなあ。

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