2016年8月11日木曜日

“Our Little Sister” 『海街ダイアリー』

やっと観られました、『海街ダイアリー』。

原作のマンガも好きだし、是枝監督の『誰も知らない』も『空気人形』も好きだし、日本でメイキング番組を観て楽しみにしていたのですが、やっとサンタクルーズでかけてくれました。オンデマンドで観なくて良かった♡ 『誰も知らない』を観た映画館、ニコロデオンは『そして父になる』も上映していたので、是枝監督がお気に入りなのかもしれない。切符代が6ドルになる火曜日に観に行きました。


良かったです。アメリカで邦画を観ると、日本特有の風物や慣習、感情表現や思考回路といったものに敏感になりますが、この映画は特にそういった要素を大きくフィーチャーした作品(でもこれ見よがしじゃなくて)で、ひときわ心にしみました。四姉妹の関係性や細やかな情感の機微にリンクするように、四季が巡るのがはっきり描かれ、また葬儀を3回挟むことで、2時間ちょいの、地味な内容の映画にメリハリを与える演出が利いていて、アメリカの観客も最後まで気持ちをそらすことなく熱心に観ていたようです。やっぱりこちらの観客の反応、気になりますよね、日本人としては。インデペンデント映画、しかもウィークデーの昼間なので、ほぼ年配の人しか来ないのですが、私の席の前後に座ったお年寄りの女性が、始終「うん、うん」って声を出しながら観ていて、ときどき「ほほう」とか「あら」とか、「ふふん」と笑ったりとか、もうなんだか自分の母親(鬼籍)と同じような反応をするもんで、たまらなくたって、実は観ている間、ダーダー泣いていました。嗚咽しそうになっちゃったぐらい。書きながらまた泣いてるよ、自分。おばあちゃんは、きっとどこの国も同じなのだ。アメリカの彼女たちには、部屋に洗濯物を干しとくのが面白かったみたい。あと「海猫食堂」が”Sea Cat Restaurant”って表示された字幕で、笑いが起きていました。字幕としては、姉妹が亡父を評した言葉「優しいけど役立たず」”kind and useless”でも笑ってました。たぶん、こちらの人たちには、感情表現がおおらかな次女が一番とっつきやすかったんじゃないかな。「ビール飲みたーい」っていうところとか、ハイヒールと大荷物でぐったりしながら山登りするところとかに受けていました。私はノーテンキな三女に共感してました、やっぱし。

サンタクルーズは海辺の町なので、かなり親近感を持って観られたんじゃないかと思います。一番の違いは、誰も車に乗らないことかな。みんなレトロな電車に乗ったり、そぞろ歩いたりしかしないものね。でもサンタにも海沿いの線路を走る列車はあります。

姉妹役の人たちはみんな良かったけれど、やはり広瀬すずの目力が圧倒的でした。『誰も知らない』の柳楽優弥もそうだったけれど、是枝監督の好みなのでしょう、言葉よりも雄弁な、涼やかな目力を持つ子どもが。監督が、演じ手の目線の持つ力を効果的にスクリーンに活用する術を知っている、とも言えるかな。先日観たGeniusの監督とは反対にさ。

何も文句ありませんが、ただ、江ノ島の花火、スクリーンで大写しして欲しかったなあ。借り物映像でもいいから🎇

ラストクレジットに流れる音楽、良かったですね。音楽は菅野よう子氏。是枝監督のアルファベットは、Kore-edaという表記になっていました。母音がふたつ続くからね。キャストリストのLilly Frankyの怪しさが格別でした(^_^)。まあクレジットを熱心に観ている客はいませんでしたが。

Rotten Tomatosの評価は91%です。
やっぱりアメリカ人には、この映画のペースは遅いようで、「それに身を任せてしまえば、丘を登ると素晴らしい眺めが待っているよ」とありました。あと梅酒はじめ、食べ物についても注目しているみたい(演出上ね!)。私は梅酒も作ったことあるけれど、夏休みの自由研究で作った葡萄酒のことを思いだしていました。もっとも、本作の情感が伝わらなかった評者もいますけどね、それは仕方がないですよね。日本人だって全員がこの映画を好むわけではないもんね……。でも残念。いい映画だからさ。アメリカで評価の高い市川崑の『細雪』”The Makioka Ssiters”を引き合いに出す評価が多いだろうと予想しましたが、Variety などでやはりやっていました。この評は、原作マンガとの違いまで指摘していて(主人公の交代など)、ていねいに素材を咀嚼しています。邦画に造詣の深そうな人でした。ここでもやっぱり、「忍耐強い観客のみに与えられる堪えられない喜びで、飽きちゃう人もいるでしょう」的なこと書いてありました。あ、ちゃんと音楽のこと書いてる。偉い!

 おまけ:2年前に観た江ノ島の花火



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