2016年9月15日木曜日

"Sully"『ハドソン川の奇跡』

評判も興行成績も非常に高いので、楽しみに観に行ったのですが、私にはさっぱりピンと来ませんでした。(^_^;)

何のためにこの話を映画化したのか、製作者(トランプ支持を表明しているクリント・イーストウッド)の意図が分からなくて。報道メディアで読んだり見たりすれば十分な内容だし、世間もなぜこの映画をそんなに持ち上げるのか、ちっとも分かりませんでした。「どうよ、これが正しいキャプテンの姿なんだぜ」、と乗客をほっぽってひとりで真っ先に逃げ出したイタリアの船長とか韓国の船長のような人たちを罰したいだけなんじゃいの、というのはゲスの勘ぐりでしょうか。むしろ、彼らのような人たちの映画が作られたら観たいと思うタイプには、あまり共鳴できない映画なのかも。

ニュース番組で当時のフライトアテンダントにインタビューをしていたのですが、サリーの責任を追及する国家運輸安全委員会(NTSB)は、実際はあんなに意地悪じゃなかったそうですよ。彼らを悪者に仕立てあげ、サリーをぎゅうぎゅう追いつめさせておき、クライマックスの公聴会でサリーが冷静に反証していくと、観客席からは小気味よさげな快哉が上がる。いかにスマートに作っていようとも(アーロン・エッカートの最後のセリフが決まってます)、つまりはそういう構造でしょう? 私には居心地の悪い映画でした。

★「我々はKGBでもゲシュタポでもない。」と映画への不満を表明するNTSB

Closed Captionの機械を利用したのは三度目ですが、三度目の正直でやっとCCが映りました。でももともと眼鏡をしていて乱視のせいか、すごく見にくくて、終わってからひどく疲れました。

いかにもイーストウッド好みの寡黙な仕事人、サリー機長像をみごとに体現していたトム・ハンクス。彼の"A Hologram for the King"という映画は興行的に惨敗だったようですが(私も未見)、オープニングにアニメーションが使用されていたそうです。映画では一部しか使用されなかったそうで、ここで全編が見られます。

ハンクスのキャラデザインが秀逸!


2016年9月2日金曜日

"Don't Breathe"『ドント・ブリーズ』

超常現象は出てこないのでホラーじゃなくてスリラー映画で、怖いというよりはハラハラドキドキと形容する方が正確かもしれませんが、とにかく映画館でゾワゾワしたい人にはお勧めです!

うらさびれたデトロイトの町に住むロッキー(『死霊のはらわた』のジェーン・レヴィ)は、仲間のマネー、アレックスと組んで空き巣を働いていた。ある程度まとまった金が手に入ったら、サーファーになりたいという娘を連れてカリフォルニアに行くのがシングルマザーのロッキーの夢だった。
その夢が、案外早くかなう機会が巡ってくる。老いた退役軍人(スティーヴン・ラング)が一人で住む古屋敷に、大金を貯めこんでいるという情報をつかんだ三人が下見に行くと、無力な盲目の老人がロトワイラーを番犬に、孤独に暮らしていた。その晩、早速盗みに入る三人。まずはロトワイラーを薬入りのエサで眠らせ、開いている小窓を見つけて侵入する。二階で眠る老人も部屋に薬を撒いて眠らせ、じっくり家探しにとりかかるが、勘の鋭い老人に侵入者がいることを気づかれてしまう。盲目とはいえ元軍人の家主はマネーが向けた銃を、間合いをつめて奪い取る。ごたごたの間に目的の大金を手に入れたロッキーとアレックスは存在を悟られないように息を潜めながら家を逃げ出そうとするが、老人は鋭い嗅覚によって文字通りあと二人侵入者がいることを嗅ぎつけると、屋敷中のあらゆる出入り口を塞いでしまう。そして、二人の盗人対盲いた老人の、密室内の攻防の幕が切って落とされた——。

とにかく盲目の老人が、とんでもなく怖ろしいヤツなのです。強いし、銃器の扱いに慣れているし、暴力を振るうのになんのためらいもない。数年前に娘を交通事故で亡くし、心に深い闇を抱えており、地下室にはとある秘密を隠していますが、あくまで正気で冷徹な判断力の持ち主なのがこれまた怖いです。なんとか無事に家を逃げ出したいロッキーたちの強味はただ一点、目が見えるということだけ。それも、後半封じられてしまうのですが……。これで終わった、と思った矢先に形勢がするっと逆転する恐ろしさを、何度も味あいます(そこはちょっとホラーっぽい)。

劇中、罪を犯した人間が、金持ちの白人ゆえに刑罰をまぬがれることへの是非が問われるのですが、ちょうどレイプ犯の大学生スイマーが、裕福な白人のぼんぼんのためにおそろしく軽い処罰ですんだという事件が世間を騒がしたばかりで、タイムリーな社会風刺にもなっています。

監督は、『死霊のはらわた』のフェデ・アルバレス。日本で公開されたら観て損なし!

ハロウィーンに向けて、いろんなホラー映画の予告編がやっていました(^_^)。