2016年10月2日日曜日

"MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN " 『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』

ティム・バートンの最新監督作品です。
公開初日、金曜日のマチネーを観に行きましたが、普段よりは観客が入っています。
原作が「ハヤブサが守る家」という児童書なので、ちびっ子連れはもちろんですが、高齢の方々が連れだって来ているのが目立ちました。原作はアメリカではベストセラーだったそうなので、そのせいかな? かっこいいお祖父さんが出て来て、孫と強い絆で結ばれているというところが、お祖父さんお祖母さんたちの萌えポイントなのかな? (^_^)

『ハリー・ポッター』みたいな、登場人物たちの生き死にがある、ちょっと怖いファンタジーなので、『ファンタスティック・ビースト』が待ちきれない人たちが、結構観に来ているようで、いまいちな批評にかかわらず、金曜日のオープニング成績は一位だったそうです。

幼い頃、不思議なお話を、セピア色の写真を見せながら話してくれたお祖父さん(テレンス・スタンプ)が大好きなジェイク。高校生になったジェイクはもうお話と現実の区別がつき、お祖父さんを英雄視することはなくなったけれど、心の底ではまだお話を信じていいた。近頃認知症の症状を見せ始めた(と周囲は思っている)お祖父さんの様子を見に行くと、家は荒らされ、お祖父さんのエイブは裏手の茂みに倒れていた。怖ろしいことに、エイブの両目はくり抜かれており、ジェイクに「1943年のチャインホルム島の館に行け」との謎の言葉を遺してこときれる。

その島は、エイブのお話に出てくるPeculiar(奇妙な)能力を持つ子どもたちの住む館があるという島だった。館の女主人ミス・ペレグリンは賢く、いつもパイプを吸っているとお祖父さんは話していた。

エイブの遺した本にあったヒントを頼りに、ジェイクがウェールズのはずれにあるその島に行くと、館は第二次大戦のナチによる爆撃で焼け跡となっていた。館を探検するうち、子どもがひょこっと姿を現し、ジェイクはいつしか1943年の、まだ焼け落ちる前の館に立っていた。そこにはエイブが話したとおり、奇妙な能力を持つ子どもたちと、賢いミス・ペレグリンがいた。ペレグリンが言うには、館は永遠に1943年のとある1日をくり返しているという。それは、彼らを狙う悪しき「奇妙な者たち」から子どもたちを守るためだった。悪しき「奇妙な者たち」は、同胞の、とりわけ子どもたちの目が大好物なのだった。そう、エイブもかつて、この館の住人であり、ジェイクにも「奇妙な能力」が受け継がれていたのだ。その能力は、バロン(サミュエル・L・ジャクソン)率いる奇妙なはぐれ者たちと闘うための、強力な武器となる——。

2時間7分と、結構長丁場です。批評家たちの指摘する「中味よりビジュアルを取った」「詰めこみすぎ」「独自ルールと言葉がありすぎ」等の欠点は確かにその通りですが、それでも面白かったです!

まずキャスティングが良いです。ジェイク役は『ヒューゴの不思議な発明』『エンダーのゲーム』のエイサ・バターフィールド。成長したエイサ君は、子どもの頃の面影をしっかり残しつつ、少しユアン・マクレガーに似てきました。

パイプを吸う横顔のシルエットがホームズっぽい(衣装もビクトリア時代風)ミス・ペレグリンはエヴァ・グリーン。ファンタジー映画は、大不評だった『ライラの冒険 黄金の羅針盤』で、ほうきに乗った魔女に続いて二度目かな? 『ライラの冒険』はすごく気に入ったので、大コケして続編が作られなくて悲しいです。なかなか世間の趣味と合致しない……(T_T)

あと、ジェイクのお父さんは、ティム・バートン印全開の、すっとぼけてるけど彼なりに子ども思いではあるお父さん像で、すごくいい味出しているクリス・オダウド。アイルランドのテレビシリーズ”Moone Boy”で、主人公の少年の「見えないお友達」をやっていた人なのですが、日本人でこのドラマを知っている人はほとんどいないかな。💦 このシリーズも、非常に好みでした。

あとはデイム・ジュディ・デンチが「いいのか」と心配になるくらい、とても贅沢な使われ方をしていて、オープニング・クレジットによればルパート・エベレットも出ているらしいのですが、最後まで分からなくて、後から映画を反芻してもさっぱり思い当たらず、IMDBを参照してびっくり。これは分からないわ……。ヒュー・グラントの老けぶりもややショッキングでしたが、こうするとコリン・ファースはかなりマシな年のとり方をしているのだなあ。整形などの不自然な若返りには一切関心がないと言っていたから、日頃から摂生しているのだろうなあ。閑話休題。

奇妙な子どもたちそのものには、こう言ってはなんですが、結構ありきたりかつ、魅力の薄い能力で、正直あまり惹かれなかった(それは意図的に、あまり役に立たなそうな能力を与えたのかも。のけものたちの物語だからね)のですが、日本の「二くち女」みたいな少女(かわいい)と、いつもずたボロ布を被っている双子ちゃんが、最後の戦闘場面で一回ずつ活躍するのが面白かったです。もちろん、ヒロイン役の、凧揚げみたいにフワフワ浮いたり、口から強力な空気を吹き出せる水色ワンピースのエマ(エラ・パーネル)は、ミス・ペレグリンと並んで眼福でしたが。エマのたこ糸を持つ人が、もしチャーリー・ブラウンだったら、やっぱりタコ食いの木に引っかかっちゃうのかしら(本編でも一度電線に引っかかっていた)。

※あとから原作を少し読んで分かったんですが、子どもたちの奇妙な能力は、作者がアンティークの一風変わった写真コレクションを見て想像力を膨らませた結果なのですね。納得。ウサギ耳をつけた悲しそうな少年の写真は、ジェイクのお父さんの少年時代という設定で、ハロウィンの夜にエイブに待ちぼうけをくらわされちゃったんですって。かわいそ。※

イギリスのブラックプールの桟橋を舞台にした決戦では、悪者側の、裂けた口だけの顔にコンパスみたいな手足でのしのし歩く化け物と、子どもたちの1人が作りだしたガイコツ軍団が闘う場面があり、CG製ですがガイコツたちがちょっとひょうきんなのが良かったです。あと、途中でちょっとだけ、ストップモーションも使っていました。

深夜のトーク番組で、個別にサミュエル・ジャクソンとエイサ君が出ていたのですが、ふたりともバートンのものまねをしてて、爆笑ものでした。ジャクソンはバートンがいつもイギリスが舞台の映画を撮ってるから、バートンをイギリス人みたいに思いこんでるんだけど、しゃべりはじめると、ああ、カリフォルニア生まれなんだよねと思い出すそうで、監督としての彼については「ぬり絵をはい、と差し出して、役者に好きな色を塗らせる」と粋な形容をしていました。タランティーノ監督は、気に入ると撮影中でもガハガハ喜ぶのに、バートンは一応演技が終わるまで待ってから、カメラの後ろで手を叩いてスキップでうれしがるそうです。だから彼をハッピーにしたくて、次の場面を演じたくて仕方がなくなるんですって。

 一方エイサによるバートン監督は、演技が気に入らないときは、はっきり言わないで、「いまの……その……もうちょっと……ほら……ね。じゃあ、もう一度撮ろうか」ってなるから、さっぱり何が言いたいのかわからなくて、呼吸を掴むまでしばらくかかっちゃったそうです。ダメ出しが苦手なんですね。

ティム・バートン、珍しくこの映画でカメオ出演しているので、お見逃しなく!

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