2017年7月18日火曜日

"The Founder" 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

スパイダーマン:ホームカミング』のマイケル・キートンが鮮烈だったので、ちょっと前に公開された彼の主演作『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』のDVDを借りて、観てみました。

邦題通り、マクドナルド創業秘話です。
キートンが演じるのは、レイ・クロックというセールスマン。ドライブインレストランにミルクシェイクのミキサーを売り込んで回るが、ちっとも買い手がつきません。そこへ、1度に8台ものミキサーを注文する店が現れます。半信半疑でカリフォルニアにある店の視察に赴いたレイは、マクドナルドというハンバーガー・レストランの、徹底して効率化を図った画期的なシステムを目の当たりにし、天啓を受けます。渋る兄弟を説得して、フランチャイズ権の契約を結んだレイの、猪突猛進が始まる…。



 マクドナルドを今のようなチェーン店にしたのはクロックですが、もとのアイディア——〝スピード・サービス・システム〟(ウェイトレス/ウェイターを置かず、窓口で客から直接注文を受ける。メニューを数点に特化して、流れ作業でどんどん作っていき、注文後すぐに手渡せるようにする)——を考案したのも、トレードマークの〝ゴールデン・アーチ〟をデザインしたのも、ディック&マックのマクドナルド兄弟でした。フランチャイズ化すれば、コントロールが行き届かなくなるとの兄弟(主に弟)の懸念が現実となり、どんどん暴走していくクロックを、契約という手綱でなんとか抑えようとしたときには、もはや手遅れ。レイの会社は巨大化して、1レストランのオーナーには、とても太刀打ちできなくなっていました。

 キートン演じる主人公を、ビジネス手腕の優れたアメリカン・ドリームの体現者、みたいな描き方をしていないのがよいです。最初は売れないセールスマンのレイを応援するけれど、いつしかヴィランに変質していくレイを、複雑な気持ちで視聴者は見守るしかありません。音楽も壮大なオーケストラではなく、こじんまりしたピアノ曲なのが、押しつけがましくなくて助かります。マクドナルド兄弟のひとり(苦虫をかみつぶしたような顔が特徴のニック・オファーマン。苦虫をかみつぶしたような顔を逆手にとったジョークが売りのコメディアンとしての彼しか知りませんでしたが、適役でした)が、レイに聞きます。「単にアイディアを盗まず、なぜフランチャイズという回りくどい手段をとったのか?」レイの底知れない計算高さと嗅覚の鋭さがうかがえる、その答えが本作の真骨頂です。

 映画が始まって少ししてから登場するレイの奥さんが、ローラ・ダーンでビックリ! 『ビッグ・リトル・ライズ』や『ツイン・ピークス The Return』とは打って変わった、貞淑で受け身な妻役です。背中の演技が印象的でした。

日本公開がもうすぐ(7月29日から)で、公式サイトのプロダクション・ノートでいろいろ学べます。

面白かったけど、ひとつ不満が残るのは、結局レイはマクドナルド兄弟にミキサー8台を届けたのかどうか、描かれずじまいだったところ。気になるよー。

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