2017年10月28日土曜日

“Victoria and Abdul”『ヴィクトリア女王 最期の秘密』

『Queen Victoria 至上の恋』でヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチが、20年ぶりに同役を演じ(最近そんなんばっか)、年代的にも『至上の恋』よりも後の、インドから来た使用人との思いがけない友情を扱っています。監督はスティーブン・フリアーズ。

晩年のヴィクトリア女王が主人公の史劇だし、イギリス英語だし、肩がこるだろうと思ったらユーモラスで楽しく観賞できました。後半はちょっとシリアスになるけれど、前半のupliftingな余韻で乗り切れます。

2017年10月26日木曜日

”The Foreigner”


ロンドンで中華レストランのオーナーをしているクアン(ジャッキー・チェン)のまな娘が、テロに巻き込まれて殺される。犯人はIRAの一分派らしいが、構成員の情報も、潜伏場所の手がかりもつかめない。唯一の家族を失い生きる気力をなくしたクアンは実行犯を捕まえて欲しいと警察に通いつめるが、体よく追い払われる。元IRAで現在は英政府の仕事をしているヘネシー(年取って007仲間のショーン・コネリー化してきたピアーズ・ブロズナン)が事件の責任者になったニュースを見たクアンは彼のオフィスに電話し、らちがあかないとみると店を女性マネジャーに任せて単身アイルランドに渡る。

"Geostorm"『ジオストーム』

ディザスター(災害もの)ムービーです。

世界各地で一部の町が消滅するほどまでに異常気象が悪化した2019年、ひとりの天才科学者が地球上空をネットで覆い衛星で気温をコントロールするシステムを開発した。だが、身を挺して堤防の決壊を防いだオランダ少年の逸話から〝ダッチボーイ〟と名づけられたそのシステムの開発者ジェイク(ジェラルド・バトラー)はアメリカ政府の怒りを買って任を解かれ、弟のマックスが後釜に座る。3年後、アフガニスタンの小村が凍りつき、村民が全滅する異常事態が起きる。原因解明のため、再び〝ダッチボーイ〟に送り込まれたジェイクは、まもなく何者かがひそかに〝ダッチボーイ〟を操り、狙い定めた地域に次々と異常気象をもたらしていることをつきとめる。局地的な異常気象がやがて地球規模の不可逆なジオストームを引き起こす前に、ジェイクは犯人を探し出してシステムを元に戻すことができるだろうか!?

2017年10月20日金曜日

"Battle of the Sexes”『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

1973年、女子テニス界でトップクラスのテニス選手ビリー・ジーン・キングと、往年の名選手ボビー・リッグス(当時55歳)が対戦し、”The Battle of the Sexes”と呼ばれた男vs女のエキシビションを映画化した作品。監督は『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサ・・デイトン&ヴァレリー・ファリスで、キング夫人をエマ・ストーン、リッグスを『リトル・ミス・サンシャイン』でも起用したスティーヴ・カレルが演じています。

なぜそんな試合が行われたのか。映画では試合にいたるまでの過程をキングとリッグスほぼ均等に時間を割き、丁寧に描いています。映画から得た印象では、1、リッグスの性格(ギャンブル好きで過剰な自己演出好き)。2、男女同権運動が高まっていた当時の機運の、ふたつが主な要因だったようです。男性選手よりも報酬が格段に少ないことに異を唱え、女子テニス協会を設立したキング夫人は、リッグスにとって格好の標的でした。

2017年10月17日火曜日

"Loving Vincent" 『ゴッホ ~最期の手紙~』

ゴッホの油絵そのままの絵柄で、ゴッホの死の謎に迫るアニメーション作品。

「油絵が動く」ということでハンガリーの油絵アニメーション『英雄時代』('82)を連想しつつ観に行くと、アニメーションと言っても先に俳優を使い実写で撮った映像を下絵に使う、ロトスコープ方式でした。もちろんそれにより、手間のかかる手法のせいで止め絵や単調な構図ばかりの『英雄時代』に比べ、自在なカメラワークや全編が動きどおしという利点を手にしましたが、「人が作った動き」を楽しむという点での満足感は得にくいです。

そのせいか、スクリーンですごいアートが展開していても、なかなか響いてきません。それからやたらセリフが多いです。「動いている」よりも「しゃべっている」印象の方が強く、これをアニメーションだと思って観に来ると痛い目にあいます(ずばり"talking heads"とまで書いているレビューもあり)。とはいえ監督はれっきとしたアニメ畑の方々で、ひとりはあの鮮烈なコマ撮り作品『ピーターと狼』のプロデューサー、ヒュー・ウェルチマン。もうひとりの監督で画家が本業らしいドロタ・コビエラは、『リトル・ポストマン』という世界初の「立体絵画アニメーション」でLA3D映画祭の短編賞を受賞しています。ドロタさんはなかなかの美女で、彼女に惚れて結婚しちゃったウェルチマンが、彼女が暖めていた短編企画を長編作品にしたのがこの映画。「私はなによりも素晴らしいストーリーを語ることに情熱を注いでいる」と強調するウェルチマンを代弁するように、とにかく登場人物たちは多弁でした。ゴッホが描いた人々に血肉を与える、という試みに共感できればスリリングな映像体験ができるのかもしれません。(監督の弁



エンドクレジットの使用曲"Starry, Starry Night"が素晴らしく、歌声は女性だったのですが、作曲がドン・マクリーンとあったので、帰ってから調べたら、この耳なじみのある曲は「アメリカン・パイ」で有名なマクリーンが作った曲だったのですね。しかも、ゴッホの「星月夜」を歌ったもので、本当の題は"Vincent"だというではないですか。いや、勉強になります。

出演俳優のなかに、クリス・オダウドとシアーシャ・ローナンがいたのもうれしいおまけでした。本編が始まる前の予告編に、シアーシャの新作"Lady Bird"がかかったのですが、自分でもビックリするぐらい、シアーシャを見ているだけでしあわせな気持ちになりました。

"Lady Bird"予告編
母親に「あなたにはあなたの最高のバージョンになって欲しいの」と言われ、
「これが最高のわたしだったらどうする?」と返すシアーシャ🐞

というわけで、いろいろと発見のあった実験作でした。








どうせならこの人を動かして欲しかったな…。

「火のついたタバコをくわえた骸骨」byゴッホ