2017年10月28日土曜日

“Victoria and Abdul”『ヴィクトリア女王 最期の秘密』

『Queen Victoria 至上の恋』でヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチが、20年ぶりに同役を演じ(最近そんなんばっか)、年代的にも『至上の恋』よりも後の、インドから来た使用人との思いがけない友情を扱っています。監督はスティーブン・フリアーズ。

晩年のヴィクトリア女王が主人公の史劇だし、イギリス英語だし、肩がこるだろうと思ったらユーモラスで楽しく観賞できました。後半はちょっとシリアスになるけれど、前半のupliftingな余韻で乗り切れます。



映画はイギリス領インドのアグラからはじまります。ヴィクトリア女王の在位50周年記念式典用に献上品(Moharというインドの金貨)を届ける役目をおおせつかったアブドゥルは、もうひとりのインド人とともに船で渡英することに。一介の使用人だったアブドゥルが選ばれた理由は長身だからだったのですが、あわせたはずのもうひとりの使用人が病気で行けなくなり、代わりの人物ムハンマドはずんぐりむっくりなのがまずおかしい。ムハンマドはイギリスの食事はまずいよう、と最初から及び腰です。イギリスに着くと、インド風に仕立てたお仕着せを着せられ、作法を教わります。食事の席についた女王へうやうやしく近づいて贈り物を置いたら、決して目を見ずに頭を垂れたまま後じさりするように、と。でも、見ちゃうんですよね、ばっちり。そこへ“Victoria and Abdul”のタイトルカードが現れるというニクい演出。

女王に気に入られたアブドゥルは、式典の後も召使いとして残り、さらにはムンシー(先生的な意味合い)としてウルドゥ語を教えます。支配者でありながらインドに行けない女王(高齢のためという説明が多いけれど、どれかのレビューで危険なため行くのを禁じられていた、という説明をみかけました。ちゃんと調べてませんが)は、ムンシーの話すタージマハールやマンゴーに興味津々。一刻も早くインドに帰りたいムハンマドはとんだとばっちりです(ひとりで帰れなかったのかなあ?)。暑い国から来たムハンマドは体調を崩してしまうけれど、アブドゥルは自分の吐く息が白くなるのをおもしろがったりします。

評価は賛否両論。低い評価をつけたレビューでは、偽善の極みとかクリシェだらけとかうそばっかりとか、かなりきつい表現を使っています。フリアーズ監督は、原作(“Victoria & Abdul: The True Story of the Queen's Closest Confidant”by Shrabani Basu)のユーモラスなところが気に入ったそうです。女王の死後、アブドゥルに関する文書等は息子のエドワード7世が全部処分しちゃったのですが、インドに追い返されたアブドゥルが持っていた書簡だか日記だか(どっちか忘れちゃった)が2010年に見つかったのだとか。
映画館でもらったリーフレット

デンチのほか、マイケル・ガンボン、エディ・イザード、サイモン・カラウなどが出ています。カラウ演じるプッチーニが女王の御前で歌う場面を境に、映画のトーンが徐々にシリアスになっていきます。ポール・ヒギンズ演じる王室付き医師が結構な俊足だったのは、まあクリシェじゃないよな。アルバート公が設計したオズボーン・ハウスと、アブドゥルの影響もあって館に作られたダーバーの間は、セットではなく現地撮影なので、それだけでも観て損はないかも?

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